JIS X 0213が制定された2001年と現在を分けている大きな状況の変化、それはUCS(=JIS X 0221=ISO/IEC 10646≒Unicode)を審議する国際機関WG2で、互換漢字に対する風当たりがより強くなってきていることだ。 将来もしも常用漢字に追加される漢字が新字体だった場合、前回書いたような漢字政策の玉突き現象によって、JIS X 0213で包摂分離せざるを得なくなる文字がある。この場合、分離前と分離後の字体の違いはわずかなものだ。したがってこれをUCSに新しい文字として提案する際は互換漢字になると思われる。ところが最近では、WG2において互換漢字はなるべく認めないようにしようという空気が強くなってきている。だからその審議には強い抵抗があることが予想される。 ● UCSと往復の保全性 そもそもこの互換漢字とはいったい何なのだろう。もともとUCSは、多国間で使用可能な