未だに陽が当たらない「上流」 原子力の世界では、ウランを採掘し、濃縮、加工して原子炉に装荷するまでの段階を「アップストリーム(上流)」と呼び、原子炉でウランを燃やしたあとの、再処理、廃物処理・処分を「ダウンストリーム(下流)」と呼んでいる。 原子炉を運転すれば、核分裂生成物や放射化生成物が生み出される。純粋に物理学的に言えば、生み出した放射能を消滅させることもできる。しかし、実際にそれを行おうとすると、厖大なエネルギーが必要となるし、別の放射能が新たに生み出されてしまう。結局、自ら生み出した放射能を消すことができないまま、人類はここまで来た。やむなく、生み出した放射能を地中深く埋める案などが出されてきたが、安全の保証を与えられないまま今日に至っている。原子力発電所が「トイレのないマンション」といわれるゆえんであり、ようやくにして「下流」問題の深刻さが認識されるようになってきた。 しかし、放