そもそも集団的自衛権の問題は、武力行使の領域にかかわる、すぐれて軍事レベルの問題である。だからこそ、日本の“頭越し”に北朝鮮が米国にミサイル攻撃をかけるという軍事的「最悪シナリオ」も想定されるのである。しかしそこでは、何のために北朝鮮が米国を攻撃するのか、という政治レベルの根本的な問題は一切問われることはない。従って当然のことながら、日本の“頭越し”に北朝鮮と米国が和解するという政治的「最悪シナリオ」が進行する場合には、ただ狼狽する以外にはないのである。このように、憲法九条をめぐっては、政治外交戦略ではなく、集団的自衛権の問題だけが、“突出”して議論されている。その結果、「米国に向かうミサイルを日本が撃ち落さないのはクレージーだ」(ローレス米国防副次官)という米国の“恫喝”をうけて憲法を改正することが、「自主憲法」の制定であり、米国によって「押し付けられた」憲法からの脱却であるという、アク