2012年、韓国では2000人あまりが「児童ポルノ」を所持した容疑で検察行きになっている……。「児童·青少年の性保護に関する法律(アチョン法)」が原因だ。児童ポルノ法改定による所持の禁止と二次元規制への機運の高まる日本。実際に、そんな法律が実施されたら、どんなことになるのか、もう既に結果は見えている。 問題となっているアチョン法は2011年に、子供を対象とした強姦殺人事件が相次いだことを契機に制定された法律だ。 【「おたぽる」で続きを読む】
全国各地で自民党が議席奪還を果たした2012年衆院選。最も強硬な「表現の自由」規制論者として知られる葉梨康弘氏(茨城3区より復活当選)も、その一人だ。09年、国会での児童ポルノ法改正をめぐる審議の中で、数々の「衝撃発言」を繰り返した人物である。果たして、再び児童ポルノ法改正問題が浮上してくるのだろうか? 今回は、09年の葉梨氏の「衝撃発言」の数々を、おさらいしてみよう。 葉梨氏は1959年生まれ。東京大学を卒業後、警察庁に入庁。刑事局防犯課、少年課理事官などを歴任した警察庁キャリア官僚出身者である。この人物が、児童ポルノ法改正問題を知る人々の間で一躍有名になったのは、09年6月26日に行われた衆議院法務委員会でのことだった。 この時の改正案は、直後の国会解散、民主党政権誕生で消え去ったのだが、出席者たちの数々の発言は、今でもよく記憶に残っている。筆者は当日、傍聴席でやりとりを取材したが、参
オリジナル・テレビアニメ作品として昨年放送された『魔法少女まどか☆マギカ』(以下、『まどか☆マギカ』)。2012年10月現在、その再編集版という位置付けで、劇場版の前後編である『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[前編]/始まりの物語』、『劇場版 魔法少女 まどか☆マギカ[後編]/永遠の物語』が上映中だ。本作は、テレビシリーズの再編集版であることに加え、全国43スクリーンでの数少ない上映という条件の中、後編が初日2日間の興行収入ランキングで第1位を記録。まさに”社会現象”を巻き起こしている。 それぞれの思いを胸に魔法少女として魔女に立ち向かうことを選んだ少女たちの戦いを描いた同作は、パッと見、可愛らしい「魔法少女もの」だが、フタを開けてみればこれまでの魔法少女ものとは一線を画すショッキングな展開や視覚表現・構成がうけ、放送当初から人気に火がついた。同作のBlu-ray Disc1~3巻の売上げ
2008年6月8日12時30分ごろ、東京・秋葉原で無差別殺傷事件が発生した。歩行者天国にトラックで突っ込み、ダガーナイフで通行人を切りつけるという残忍なこの事件によって死者7人、負傷者10人という被害者が出た。 その規模の大きさだけでなく、加害者である加藤智大にまつわる「非正規雇用」「ネット掲示板」といったキーワードがセンセーショナルにメディアを騒がせたこの事件。果たして、彼はどうしてこのような事件を起こすまでに追い込まれていったのか? そして、このような事件が引き起こされてしまう現代とは、どのような時代なのだろうか? これまで論壇誌などで数々の社会的な事件について寄稿し、今年3月にノンフィクション『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』(朝日新聞出版)を上梓した北海道大学公共政策大学院准教授・中島岳志氏にお話を伺った。 ――秋葉原事件について中島さんは、事件発生当初からどのように動かれていたんでし
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「GREE」などを運営する、大手インターネット企業・グリー株式会社が、開発者に向けて「GREEデジタルコンテンツ内の性表現に関するガイドライン」を示していることが、明らかになった。 編集部が入手した資料によれば、 「本ガイドラインの目的は、グリー株式会社(以下、「当社」といいます)が定めた性表現に関する使用禁止行為を、GREEデベロッパー様にご理解いただき、本ガイドライン準拠により、青少年の保護、およびGREE Platformの健全性を向上させていくことを目的としています」 と、目的を述べた上で、下着表現・性行為表現・強調表現・裸体表現・児童ポルノ表現・留意すべきワードの項目ごとに禁止表現を定めている。 「下着表現」では「下着の露出が確認できる、または下着の露出を想起させると当社が認めた場合は、禁止表現とします」として、その定義を「下着が露
「東京都青少年健全育成条例」の改正施行から1年。喉元過ぎれば熱さを忘れたのか、単なる無知なのか? ここにきて、やりすぎな出版社がしっぺ返しを食らう事例が相次いでいる。 今年5月以降、双葉社の「ピザッツ系コミック」と総称される、ゾーニングマークなしエロ系単行本の発売延期が相次いだ。発売が延期されたのはZUKI樹『アネアナ』3巻、ポン貴花田『女子アナでもいーですか?』1巻、usi『夢見る派遣 苺ちゃん』、かわもりみさき『ひめか先生の言う通り!』、ながしま超助『人魚を喰らう島』の5冊だ。現在、これらの単行本は8月に、双葉社系列のアダルト系出版社であるエンジェル出版からマークなしで発売予定であることが判明している。 双葉社がこのような措置を取った背景には、昨年7月から施行された改正条例の第9条の3で示された各条項を恐れてのことだ。ここでは、次のような規定が記されている。 2 知事は、図書類発行業者
今さら言うまでもないが近年、1970年代以降の漫画・アニメを中心とした大衆文化研究が盛んに行われるようになっている。その半面、体系的な史料を手に入れるには困難がともなう。読み捨てられたような昔の漫画やサブカル雑誌は、ごく稀に喉から手が出るほど欲しいというマニアがいる一方、古書業界では「値段がつかない」ことを理由に、ほとんど取り扱ってもらえないからだ。文化研究の中でひとつの重要な軸になるであろう、いわゆるエロ漫画も、10数年前に発行されたものを手に入れようとすると、極めて困難である。書誌情報も明らかでないから、いつ頃、どのような雑誌あるいは単行本が出版されたのか、すべてを知ることは難しい。そのため、96年 91年から始まった成年コミックマーク(黄色い楕円のアレ/90年に出版倫理協議会が導入を決定。マーク付きの第一号は、こばやしてつや、1991/2、『IKENAI!いんびテーション第3巻』講談
6月、スウェーデンでPCに保存していたマンガの画像が「児童ポルノ」にあたるとして逮捕・起訴されていた裁判で、同国最高裁から無罪判決を勝ち取ったシモーン・ルンドストローム氏(記事参照)が来日し、インタビューに応じた。 ──無罪判決に対して、スウェーデン国内での反応は? 「主要な新聞・テレビなどがトップで報道した。報道は無罪判決におおむね好意的。批判的なものは個人ブログ程度でしか見られない」 ──最高裁が、1枚だけは児童ポルノに該当すると示唆したことについては? 「スウェーデンの裁判所は違憲審査の権限を持たない。そのため、明らかに法律が誤っていることに言及するのを避けるための政治的な方便だと思う。穿った見方をすれば、法律に対する議論を喚起する狙いがあるのではないかとも考えている」 ──日本のマンガ・アニメの規制にも肯定的とされる国際NGO「エクパット」の反応は? 「これまでエクパットは、この問
極悪人を擁護する人でなし、鬼畜弁護士……と激しいバッシングを浴びる 安田好弘弁護士。「マスコミは人を痛めつけることが多い」と マスコミを毛嫌いする。(c)東海テレビ放送 悪魔の弁護人。マスコミは弁護士・安田好弘のことをこう呼ぶ。「オウム真理教事件」の麻原彰晃、「和歌山毒カレー事件」の林眞須美、「光市母子殺害事件」の元少年……。どれも安田弁護士が担当している死刑事件だ。マスコミや世間は、凶悪事件の弁護を請け負う安田弁護士のことを猛烈にバッシングする。それでも彼は法廷に向かう。刑事事件、しかも死刑事件を引き受ける弁護士はそうそういないからだ。裁判に勝つ見込みは限りなく少なく、国選でない場合は身銭を切ることがほとんど。ではなぜ、安田弁護士は極悪人とされる被告人たちの弁護を続けるのか? その真相に迫ったのが、ドキュメンタリー映画『死刑弁護人』だ。マスコミぎらいで知られる安田弁護士の密着取材に成功し
本日16時頃、シーモン・ルンドストローム(Simon Lundstroem)氏から届いたメールによれば、スウェーデン最高裁判所は性的なポーズをとる女児を描いたイラスト39点をパソコン内に所持していたとして児童ポルノ罪で起訴されたルンドストローム氏(記事参照)に対して、無罪判決を下した。 早速、本人に電話で詳細を確認したところ、(「今、船に乗っている」とのことで長くは話せなかったが)判決で裁判所は、検察側の訴えを「却下」あるいは「忌避」(日本語の法律用語でどれが正当かは確認中)し、「(問題となった39点のイラストのうち)1枚はリアルなので有罪になる可能性も考えられる」としながらも「犯罪として成立しえるものではない」と、ルンドストローム氏をイラスト所持を事件化し起訴したこと自体を批判しているという。 現地の大手日刊紙『スヴェンスカ・ダーグブラーデット』と『ダーゲンス・ニュヘテル』の電子版を確認
漫画は児童ポルノに該当するのか――。スウェーデンの最高裁判所で、日本のエロ漫画を所持し逮捕された男性の裁判が5月16日から始まった。この事件、問題は単に漫画が児童ポルノに該当するのかどうかということだけではない。日本でも導入を求める声がある「児童ポルノ」所持の禁止がもたらす冤罪の可能性が現実になったものといえる。現在、裁判を争う当事者の男性を取材した。 この男性は日本漫画の翻訳者で、スウェーデンでも指折りの漫画専門家として知られるシーモン・ルンドストローム氏だ。事の発端は2009年の10月12日。その日、帰宅したルンドストローム氏は、自宅の前に2台のパトカーが停まっているのを見て驚いた。慌てて家に入ってみると、自宅は家宅捜索の真っ最中。彼の自宅に警察が踏み込んだ原因は、元妻からの通報だった。当時、彼は離婚した元妻と親権をめぐって争っていたのだが、元妻は裁判を有利に運ぶために「彼はペドフィリ
東北地方に甚大な被害を与えた東日本大震災。発生から半年近い年月がたとうとしている今も、復興のめどは見えてこない。死者・行方不明者2,000人以上の被害を出した陸前高田市でも、がれきの撤去にはまだ数年を要するとさえ言われている。同市の戸羽太市長は、著書『被災地の本当の話をしよう -陸前高田市長が綴るあの日とこれから-』(ワニブックス)の中で、復興を阻害するさまざまな法規制の存在を冷静な視点で記している。被災地の復興をことごとく阻む壁の正体とは何なのか。これまで報道されてこなかった被災地の現実について、戸羽市長に語ってもらった。 (聞き手=浮島さとし/フリーライター) ――被災地を取材していますと、どこへ行っても「法律や条例の壁があって何もできない」といういら立ちの声を耳にします。戸羽市長もそれをずっとお感じになってきたのではないでしょうか。 戸羽市長(以下、戸羽) その繰り返しに尽きますね。
2月14日、衆議院第一議員会館で院内集会「国際エクパット事務局長来日 今こそグローバルスタンダードへ! 児童買春・児童ポルノ禁止法(以下、児ポ法)の改正に向けて」がECPAT/ストップ子ども買春の会(以下、エクパット)の主催で開催された。エクパットの院内集会は、昨年の6月以来のことだ。 この日の集会は、撮影・録音・Twitter禁止、パソコンの使用も禁止というものものしい雰囲気で始まった。冒頭あいさつに立った、エクパット代表の宮本潤子氏は「ぜひとも今国会で改正を行い、子どもたちを残虐な虐待・性暴力から守る法律にしてもらうことを願っている。今一度、全部の政党が子どものために立ち上がってくれればと心から願います。この20年間、ひとつ進歩したことはNGOだけでなく、行政とNGO、ザ・ボディショップのような民間セクター、この問題を改善しようと思っている日本旅行業協会、インターネット協会、そしてスウ
「ネトウヨは財政破綻した夕張を助けに行け。雪かきして来い」 こんなフレーズを耳にして、ピンと来る人が果たしてどれくらいいるのだろうか? 2010年の12月5日、マンガ・アニメの規制を画策する東京都青少年健全育成条例改定案を巡る、猪瀬直樹東京都副知事のTwitterでのつぶやきに即座に反応したジャーナリストの昼間たかし氏は、「表現規制ではない。デマゴーグに踊らせられているだけ」と主張する猪瀬副知事に対し、「その旨を取材させてほしい」とオファー。すると、猪瀬副知事から取材に応じる条件として、財政破綻で苦しむ夕張市内での雪かきを提示されたのだった。 この条件提示に昼間氏と時を同じくして呼応したのが、キャリア20年を数えるマンガ家の浦嶋嶺至氏。浦嶋氏は、11年1月21日に夕張市を訪問し、同市の社会福祉協議会の案内で雪かきを実行。直後から、取材方法について猪瀬副知事との調整を始めた。 そんな矢先、昼
アニメ業界が、業界志望者たちに求めるスキルとはなにか。そして、それは大学や専門学校などの育成機関で教えることができるものなのか? 1月13日、日本動画協会が主催する「アニメ・クリエイター育成ビジョンづくり 産学共同推進プロジェクト」のキックオフ・シンポジウム「現場からの報告:教育機関のカリキュラム・産業界の人材育成」が、秋葉原の同協会会議室で開かれた。 アニメが日本のコンテンツ産業の核であり、海外にも輸出できる商品力の高い物であることは、間違いない。ところが、今後のアニメ産業の核となる人材を育成する方法は、いまだ確固たる物とはなっていない。このプロジェクトは教育機関とアニメ産業界の人材育成の考え方を検証し、共同で環境や方法を検討するというものだ。 この日のシンポジウムでは教育界・産業界双方からパネリストが出席し、現状と、これまでの人材育成の状況についての意見交換が行われた。 冒頭、2010
かつて、政府の圧力で放送中止になったとされる伝説のテレビドキュメンタリー『南ベトナム海兵大隊戦記』の上映会が、来たる1月27日(金)に東京大学本郷キャンパスで予定されている。 この作品は『日立ドキュメンタリー すばらしい世界旅行』などの製作者としても知られる、ドキュメンタリー作家の故・牛山純一氏が1965年に製作したもの。同年2月下旬から2カ月半、当時日本テレビのプロデューサーだった牛山は南ベトナム軍の海兵大隊の作戦を同行取材し、テレビ放映のために三部作にまとめた。 この作品は当時・日本テレビが日曜日の21時30分から東京ガスの一社提供で放映していたドキュメンタリー番組『ノンフィクション劇場』で放映されることになる。この番組は現在でもテレビ史に残る番組で、大島渚が演出し、国籍の違いから補償を受けられない片手片足で両眼を失明した元朝鮮人日本兵を主人公に描く『忘れられた皇軍』や、村でも唯一にな
■前編はこちらから 自身のスキャンダル報道の真相と地方政治の実態を記した前横浜市長・中田宏氏の著書『政治家の殺し方』(幻冬舎刊)。市長在任中から中田氏を追及してきた太田正孝市議は、同書の内容について「すべてがゴマカシ」と憤る。前編ではスキャンダル報道の”本当の真相”について語ったが、後編に当たる今回は虚飾に彩られた疑惑まみれの中田市政の実相を明らかにする。 ――中田氏は、横浜市長時代に行革で約1兆円もの負債と市職員6,000人の削減を実現したと同書の中で触れていますし、自身も至るところで吹聴しています。今回、大阪市の区政改革のまとめ役に就任するのも、そうした実績を橋下市長が評価してのことだと思うのですが……。 太田 市職員6,000人の削減といっても、定年退職などに伴う自然減と、多くは外郭団体に職員を移しただけで実態は何も変わっていない。別に行革の成果でもなんでもありませんよ。横浜市の借金
民主党代表選は野田佳彦氏の勝利に終わり、9月初めに臨時国会で新首相に就任する見通しだ。補正予算や関連法案の審議など、震災対応の課題が山積する臨時国会の中でマンガ・アニメファンから動向が注目されているのが、再び持ち上がった児童ポルノ法改定をめぐる審議である。 2009年6月、当時の与党だった自民・公明両党と民主党との間で一時は改定が合意された児童ポルノ法だが、この時の改定案は会期末の時間切れで廃案、直後の衆院選で規制に慎重な議員が多くを占める民主党が政権を得たことから、改定議論の再浮上はなかった。だが、今年6月になり、改定を求める与野党各党の議員らが改定と規制強化を求める院内集会を開催し、議論が再浮上してきたのだ。 これを経て、8月には自公両党と民主党がそれぞれ改定案を提出し、国会への審議がスタート。8月中には議論はまとまらず、次期国会での継続審議となっている。 2つの案の隔たりは大きい。自
3月1日、アダルトビデオやDVDの自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」(ビデ倫)の審査部門責任者らがわいせつ図画頒布幇助容疑で、同時に、AVメーカーの役員ら5人も同頒布容疑で警視庁に逮捕された。大手メディアの報道は、この事件を「インターネットの普及やAVソフト販売競争が激化する中で、モザイクを薄くする必要に迫られたメーカーが、ビデ倫を抱き込み、過激な作品を流布させた」という文脈で解説。 だが、今回摘発の対象となった作品は、逮捕されたメーカー代表自身が、逮捕以前に「ほかに摘発するものは、いくらでもあるでしょう?」と語っている通り、昨今の市場動向からすると、決して度を超したものではないという見方が業界内では強い。 「過激化する一方のAV業界全体に対する見せしめ的な逮捕であったことは、間違いないでしょう。ただ、警察の思惑は、それだけではないと思いますよ」 そう語るのは、今回逮捕されたメーカーA社の
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