「清涼飲料水統計2022」によると、世に出る新商品の数は毎年千を超えるそうだ。 へえ、とコンビニの飲料売場を見れば確かに圧倒的な品揃えである。 お茶ひとつとっても、ほうじ茶玄米茶烏龍茶ジャスミン茶にルイボスティー、濃い緑茶に脂肪を燃やすお茶。タピオカの流行に紅茶以外のお茶を甘くして飲んでもいいのだと気付かされたのも記憶に新しい。次々に現れる新商品があらゆる需要に応え、売場を拡張していく。 しかしこれだけの種類の飲み物が揃えられてもなお、わたしたちはさらに狭く細いけもの道をゆく。 「これでいい」と「これがいい」のあいだで 二人暮らしをはじめてしばらく経った頃、味噌汁をつくる私の横でパック豆腐の水をいそいそとコップに移して飲む彼を見て「これはえらいひとと付き合ってしまったな」と思った。 飲み物として売られているものではないし、誰かに習って飲んだわけでもない、誰もあとに続かない。完全な野良道であ