スリランカで大規模なテロの一報があったとき、まず思ったのは、奇妙なある矛盾した思いだった。矛盾というのは、2つの方向がある。一つは、スリランカの近年の歴史を振り返ると大規模な内戦があり、その余波が連想されることだ。しかし狙われたのは、キリスト教会でありまた欧風の高級ホテルであった。内戦の延長の文脈は自然には考えにくい。もう一つは、もし、その爆破テロの手口から自爆テロであるなら、死を賭してもかまわない狂信が背景にあるはずだ……とすれば、そうした狂信を持つことができるのは、過激なイスラム教だろうか……という矛盾した思いである。そして、それがイスラム教だろうかという疑問が浮かんだところで私は思考を止めた。自分の心なかでイスラム教に対する差別意識のようなものがないだろうかと不安になったのである。 報道を追ってみた。恐らく日本のメディアは被害者に邦人が含まれるか、外務省がどのような対応するかというこ