夏目漱石が俳句雑誌『ホトトギス』に処女小説である『吾輩は猫である』を発表したのは、今から106年前の1905年1月のことですから日露戦争勃発の年になります。 中学校の英語教師である珍野苦沙弥の家に飼われている猫である「吾輩」の視点から、珍野一家や、そこに集う人間模様を風刺的に描いたこの作品は、「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。」という冒頭文が有名であります。 このように本来はしゃべることのできない動物やあるいは物などに語らせる手法は小説の中ではかなり古くから見られますし、桃太郎などの昔話では犬、雉、猿が人間のように会話いたします。 まあ、小説など作者の空想の産物でもありますからなんでもありなのでしょうが、これを時事を扱うまじめな論説、例えば新聞の社説なんかで読まされてしまうと、あら不思議、読者としてはものすごく馬鹿にされているような不愉快な気持ちになってし