SMBC日興証券の前執行役員のインサイダー事件で、逮捕された吉岡宏芳容疑者(50)が、横浜市の金融会社社長、加藤次成容疑者(66)に銀行員時代から企業情報を漏らし、複数の借名口座を利用した株取引が繰り返された疑いがあることが、捜査当局の調べでわかった。銀行時代の株式売買を金融商品取引法違反に問うのは困難とみられるが、捜査当局はこうした癒着の構図が証券業務を通じたインサイダー取引につながったとみている。 関係者によると、吉岡容疑者は出向元の三井住友銀行勤務時の03年、法人企業統括部の副部長に就任。企業の融資情報を知りうる立場になった。吉岡容疑者は入手した情報を何度も加藤容疑者に漏えいしていたとみられる。銀行の融資は増資などと異なり金融市場を介さないケースもあることから、株価の値動きに直結する「重要事実」の認定が困難で、インサイダー取引に当たらない可能性が高いが、加藤容疑者には借名口座を利用し