今回から6回にわたり連載することになった。食後のデザートのように気軽にお楽しみ頂ければ幸いである。 外交公嚢(外交封印袋)とは、外交上の機密書類をはじめとする、派遣国による接受国における外交任務のために必要な物品を入れる袋であり、税関フリーパスという外交特権を有している(外交関係に関するウィーン条約27条3項〔以下、ウィーン条約と略記]は「外交封印袋は、開き又は留置することができない」と規定する)。この袋には「外交上の書類又は公の使用のための物品のみを入れることができる」(同4項)が、残念なことにこれまで様々な問題のあるものが運ばれてきた。チャーチルが第2次大戦中にキューバから葉巻を外交公嚢で運んでもらっていたという微笑ましい事例もあるが、国外持出禁止の美術品やダイヤモンドや麻薬・覚醒剤の密輸といった顔をしかめざるを得ない事例も時々生じ、さらに次のように唖然とするしかない事例さえ存在した(