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ブックマーク / brevis.exblog.jp (11)

  • とれるだけ仕事をとってはいけない : タイム・コンサルタントの日誌から

    最初に、損益分岐点の説明からはじめよう。企業は、製品やサービスを売って売上を得る。しかし、世の中にタダの物はないので、そこには必ず費用(原価)が発生する。その費用が製品の販売数量に単純に比例する場合、企業は売上に比例した利益を得ることになる。この関係を図(a)に示す。横軸は、売上である。工場の視点から言うと、売上向上すなわち稼働率向上を意味するから、横軸は稼働率と見てもよい。縦軸は金額で、実線が売上高を、点線が費用を示す。費用は純粋に、売上高に比例する。これを変動費ともいう。売上に伴って、変動するからである。たとえば製品を作るのに必要な原材料の購入費がそうだ。あるいは、製品を加工するための外注費などもそうだ。 ところが、企業にはこれとは別に、売上高にまったく関係なく、固定的に発生する費用がふつうある。これを固定費という。その典型例は、設備機械の減価償却費である。あるいは、従業員の給料なども

    とれるだけ仕事をとってはいけない : タイム・コンサルタントの日誌から
    vivit_jc
    vivit_jc 2015/03/04
    働きアリの2割は仕事をしていない、という話にちょうど合致する
  • プロジェクトは失敗するものである、という英国人の思想 | タイム・コンサルタントの日誌から

    1993年3月、ロンドン証券取引所は、ビッグバンを背景に7年にわたって進めてきた、株式取引決済システム「トーラス」開発プロジェクトの中止を発表した。証券取引所はすでにこの事業に8000万ポンドの費用を投じており、人件費を含むシティ(ロンドン金融街)全体の投下コストは、総額5億ポンドに上っていた。証券取引所のP・ローリンズ理事長は、責任をとって辞任する。 「トーラス」は、株式売買のバックオフィス業務である株式決済処理の電子化・効率化を目的とした、英国金融界の共同事業で、中心的な推進役はロンドン証券取引所であった。トーラスは米国のパッケージソフト「ヴィスタ」をベースに開発されることになっており、来ならば、'91年10月に稼働しているはずだった。それは一度、'92年夏に延期されていた。しかし、中止決定時点では'93年中の稼働すら危ぶまれる状況だった。 ちなみにこのプロジェクトは、ローリンズ理事

    プロジェクトは失敗するものである、という英国人の思想 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • R先生との対話 - 海外に展開する勇気、国内に居続ける知恵 | タイム・コンサルタントの日誌から

    今年の初め頃のことになるが、久しぶりにR先生を訪れた。R先生はわたしの敬愛する、人生の大先輩である。鍋を囲みながら、話はしだいに製造業の海外展開のことになった。 「先日も、知りあいの経営者がやってきて、愚痴混じりに質問してきたよ。海外進出を考えなければいけないが、どこに出るべきか、どうやって出るべきか、教えてほしいとね。」(R先生は米国に何年も暮らしたことがあり、海外事情にも詳しい) --わたしもたまに、同じ事を聞かれます。しかし、答え方がむずかしいですね。大きく分けて、先進国をねらうか、新興国をめざすか、という選択肢になります。でも、新興国の場合、商品の種類にもよりますが、何よりも値段が勝負です。すると、どうしても高価な日製は分がわるい。かといって、品質に重きを置いて判断してくれる先進国は、借金まみれで財布の紐が固い。どっちもどっちです。 「当たり前だ。金払いもいい、目も高い、そんなお

    R先生との対話 - 海外に展開する勇気、国内に居続ける知恵 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 新しい決意と、「今のお気持ち」主義 | タイム・コンサルタントの日誌から

    早春が好きだ。 3月、コブシの白い花が空に向かって問いかけるように咲きはじめる。まだ冷たい空気の中にも、草木の芽吹く気配がする頃。一年で一番美しい季節になったな、と思う。そういう気持ちは、年を追うごとに強くなる。昔は季節などに興味はなかった。いまは歳をとってきたせいか、少しずつ花が咲き、いのちの生まれかわるときが心にしみる。 3月は卒業と進級、別れと新しい決意の季節でもある。なにか未経験のことにチャレンジし、衣を脱ぐように古い自分から脱皮したい。そんな気持ちをいだくことも多いだろう。望み、あこがれ、訣別、スリル、そして少々の怖れ、いろいろな気持ちが混じりあって新しい決意を形づくる。 「決意」から「実現」へと向かって進むために一番大切なのは、もちろん自分の強い気持ちである。気持ちとはすなわち、意思であり、感情であり、好みでもあり、また気合いでもあろう。それらをひっくるめて日語では「気持ち」

    新しい決意と、「今のお気持ち」主義 | タイム・コンサルタントの日誌から
    vivit_jc
    vivit_jc 2014/03/20
    このインタビューの仕方は海外との比較でよく話題になるな
  • プロジェクト・マネジメントの教育について | タイム・コンサルタントの日誌から

    先日、わたし自身が主査を務める研究部会で『プロジェクト・マネジメントの教育について』という講演をさせていただいた。過去何年間かにわたり、 大学・大学院・自社・他企業などで試行してきたPM教育カリキュラムの内容と課題について、ディスカッションしたいと考えたからだ。当日は普段の倍以上の方が来場され、この問題への関心の高さがあらためてうかがえた。遠くは岩手から参加された方もいたが、都合の合わなかった読者もおられると思い、ここにその一部をご紹介しよう。ちなみに、会の名称は「プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会」といい、スケジューリング学会の下部組織だが、とくに学会員でなくても自由に参加できるオープンな組織である。 当日の発表内容は、前半が「大学におけるPM教育の実践例から」ということで、主にカリキュラムの内容の話、後半が「PM教育のあるべき仕組みを考える」で、わたしの今の考えを述べたもので

    プロジェクト・マネジメントの教育について | タイム・コンサルタントの日誌から
  • チーフデザイナーとプロジェクトマネージャ、どちらが上に立つべきか | タイム・コンサルタントの日誌から

    宮崎駿の映画「風立ちぬ」は、ゼロ戦の設計者・堀越二郎を題材にした物語だ。堀越は実在の人物だが、映画全体は評伝ではなく、フィクションの色彩が強い。とはいえ、物語は主人公・二郎による新型飛行機の設計を軸として展開していき、その部分は比較的史実に近い。だから、一種の製品開発プロジェクトのストーリーとしても、見ることができる。その中における主人公の職務上のポジションは、「設計主任」だ。設計主任とは何か、その役割は開発プロジェクトプロジェクト・マネージャーとは何が違うのか。そんなことを、今回は考えてみたい。 設計主任に対応する英語はいくつかありうるが、チーフ・デザイナーあたりが最も一般的だろう。ところで、チーフ・デザイナーというと、もう一つ思い出すストーリーがある。ハインラインの「月を売った男」だ。これは月世界旅行の夢にとりつかれた主人公ハリマンが、月ロケットを完成させるまでの物語である。小説が書

    チーフデザイナーとプロジェクトマネージャ、どちらが上に立つべきか | タイム・コンサルタントの日誌から
  • レベルいくつの議論をしているの? | タイム・コンサルタントの日誌から

    わたしの働くエンジニアリング業界では、プロジェクトの構造や規模感について、ほぼ国際的な常識ないし合意事項がある。我々の業界で大規模プロジェクトといったら、予算総額1,000億円以上を通常、指す。そして大規模プロジェクトを構成する種々の単位作業(Activity)の総数は、大ざっぱに3~5万程度だ。もっとも最近はプラントの大型化が進み、規模感はややインフレ気味だが、上記の数字は一つの目安になる。 ところで、Activity数が3~5万と書いたが、これはプロジェクトを構成する最下位のActivity数である。プロジェクトを作業単位に階層的に分解して管理番号をつけ、予算や要員やスケジュールをコントロールしていく基準とする手法は、現代プロジェクトマネジメントの基である(この作業の階層構造をWBS = Work Breakdown Structure と呼ぶことは、サイトの読者諸兄ならばよくご存

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  • シェールガス革命と、エネルギー価格のゆくえ | タイム・コンサルタントの日誌から

    この1ヶ月ちょっとの間に、エネルギー業界(とくにOil & Gas関係)では重要なニュースがたくさんあった。 一番のニュースは、ロシアのロスネフチRosneft社がExxon Mobilを抜いて世界最大の石油会社になったという出来事だろう(3月22日)。かれらは、英国BPと露の投資家たちの合弁企業であったTNK-BPという会社を540億ドルという「目の飛び出るような」(International Oil Daily紙)価格で買収して、世界トップ規模に躍り出たのだ。 ちなみにロスネフチは上場企業だが、実質的には国営会社であり、セチン社長はプーチン大統領の側近中の側近といわれる。同社はこのところ、米ExxonMobil、ノルウェーStatoil、伊ENIと、矢継ぎ早に戦略的アライアンスを締結し、急速な業容拡大を図っている。4月に入ってから丸紅ともサハリン1のLNG事業(1.5兆円、年産1000

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  • リーダーシップを浪費する組織 | タイム・コンサルタントの日誌から

    見渡す限りの荒野を、一台の幌馬車が西に進む。手綱を取るのはがっしりとした屈強の男。と子供たち、それに従者をしたがえながら、まだ見ぬ新天地を目指し、ある時は川を渡りある時は峠を越え、またある時は野牛や狼の群を警戒し、インディアンの不意打ちを防ぐため銃に弾丸を込めながら、彼らの旅路は続く。いかなる困難に遭おうとも、不屈の意志で乗り越え、一団を率いて数千マイルもの道のりを行く。これがアメリカ人の描くフロンティア・スピリットだ。 勇気を持って仲間を率い(lead)、今までとは違う新しい場所に導く者を、Leaderと呼ぶ。ここにはヒーローのイメージが重なっている。北米の文化において、困難に直面したときは、自分をこうした開拓時代の勇者になぞらえ、自ら鼓舞する事が求められる。もちろん、現代のアメリカ人の過半数は、べつに西武開拓者の子孫ではない。それでも、自らを擬する対象として、開拓のリーダーのイメージ

    リーダーシップを浪費する組織 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 不稼働損という名のダウン・スパイラル - 原価を下げると赤字が拡がる謎 | タイム・コンサルタントの日誌から

    ビジネスの世界では、ときどき常識では理解しがたいことが起きる。前に書いた『黒字倒産』という事象もその一つだが、もう一つ訳が分からないのは、原価を下げて黒字受注を続けたのに、会社が赤字に陥るケースである。しかも、“これはマズイ”と思ってさらに原価を下げる努力をすると、もっと赤字幅が増えてしまう。もちろん売値は下げていないのに、である。それは『不稼働損』という名のダウン・スパイラルだ。いくつもの日企業(それも立派な大企業)が、この病に陥っているように見受けられる。いや、米国でもかつて多くの製造業がこれを経験し、その結果衰退した会社も少なくなかったと想像される。今回は、これについて書いてみたい。 単純化した例で説明しよう。今、ある企業の主力製品Aは、定価が25万円で原価が20万円だ、というケースを考える。原価のうち、製品1個あたりの標準の材料費が10万円、労務費が3万円、製造経費が3万円で、つ

    不稼働損という名のダウン・スパイラル - 原価を下げると赤字が拡がる謎 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 書評: 「不確実性のマネジメント」 桑嶋健一 | タイム・コンサルタントの日誌から

    不確実性のマネジメント - 新薬創出のR&Dの「解」 医薬品の中には、1gあたりの価格が宝石よりも高いものもある。画期的な新薬の開発にうまく成功すれば、一品目だけで数年から十数年にもわたって、製薬企業の収益を支えることができる。まさに宝物である。 そのような画期的医薬品の代表例の一つが、三共(現・第一三共)の高脂血症治療薬「メバロチン」であった。1991年から2003年まで、13年間にわたって日の医療用医薬品の売上高トップの座を維持した。しかし、書によれば、メバロチンの開発は計画の線に沿って進展したプロジェクトではなかった。'73年にコレステロール合成阻害作用を持つリード化合物が発券されていたが、マウスによる動物実験ではまったく効果が出なかったという。しかし、飲み屋での偶然の出会いから、別の動物の非公認実験の協力者を得て活路を見いだし、'81年からは前臨床試験、そして'84年から人によ

    書評: 「不確実性のマネジメント」 桑嶋健一 | タイム・コンサルタントの日誌から
    vivit_jc
    vivit_jc 2011/09/05
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