人の命にお金を投じるものはこの世にいくつか存在する。その一つに、フランスには「ビアジェ」と呼ばれる投資システムがある。これは不動産投資の一種だが、ちょっと特殊であるのは、老人が早く死ねば死ぬほど儲けが出るという点だ。 「年寄りつきマンション売ります」 パリの不動産売買情報誌を見ていると、市場価格より格段に安い物件を見つけることがある。これは「古家付き土地」ならぬ「年寄りつきマンション」。 ビアジェとは、死後に受け渡すマンションの販売を、生前中に行うことができるフランス特有の制度。高齢者所有のマンションを市場価格より安く買うことが出来るが、もれなく「おばあちゃん付き」だ。売主の高齢者は、生存中はそのマンションに住み続ける権利があるからだ。またおばあちゃんにはお小遣いも必要で、毎月契約書で定めた「年金」を支払わなくてはならない。 ※ビアジェとはフランス語で「年金」を意味する。 若い夫婦は、市場