M&Aにおける価格交渉等のための株式価値、事業価値等の算出は、企業の経営企画部門や財務部門などで日常的に行われている。そこで用いられる純資産方式、類似会社比較方式、DCF方式といった計算手法は、書籍、インターネット上など様々なところで見つけることができ、一部の専門家による技術から、すでに一般的な経営知識になってきている。 しかしながら、バリュエーションは計算結果を算出することだけが目的ではない。 そもそも算定対象とした株式や事業の評価について、どういう計算手法を使うのが最善なのか(なぜその手法が適切なのか)、計算手法の中で用いるパラメータをどのような考え方で設定するのか、という点の検討が必要である。実際に採用する計算手法や設定するパラメータは、算定する立場(売り手か買い手か)、算定対象となるものに対して取引する際の持分(比率)、入手可能なデータの制約などによって異なる。たとえば、書籍等では