東京電力福島第一原発の新型除染装置「ALPS(アルプス)」で不具合が起きているのに東電が運転を続けた結果、多数のタンクを高濃度の放射性物質で汚した。東電は「タンクの除染を始めた」というが、後始末をさせられるのは作業員。除染に当たった作業員らが語る現場は、過酷だった。 (片山夏子) 除染されたのは、ALPSで処理した水を一時的にためるため、装置脇にあるタンク一基。作業員らはタンク下部の側面に直径八十センチほどの点検孔を開け、高さ、直径ともに約十メートルあるタンクの中に入った。天板に二カ所ある点検孔を開け、そこから差し込むわずかな光と持ち込んだ発光ダイオード(LED)ライトの光だけが頼りだ。 すでに上部から高圧の水を吹きつけて洗浄してあるとはいえ、つい数日前まで一リットル当たり一〇〇〇万ベクレルと、放出基準の数十万倍もある放射性ストロンチウムなどを含む水が入っていた。ベータ線を発する物質で、被