憲法改正をめぐり自民党が最優先に議論する方針の緊急事態条項は、大規模な自然災害や外国からの武力攻撃に対処するため、政府の権限を平時より強化する規定だ。東日本大震災を機に必要だとの議論が高まった。自民党の改憲草案は国会議員の任期延長や、首相の衆院解散権の制限などを明記した。一方、居住の自由や財産権など基本的人権の制約が前提となり、問題点も指摘される。 ▽震災の教訓 自民党は2012年にまとめた憲法改正草案で、有事や大地震の発生時などに、首相が閣議に諮った上で緊急事態を宣言できるとした。宣言後、政府は法律と同じ効果を持つ政令の制定が可能で、首相は緊急の財政支出も行える。宣言には、事前か事後の国会承認を要件とした。 自民党は国会議員の任期を延長できる規定の新設が「急務だ」とする。東日本大震災の被災地では、発生直後に予定された統一地方選が特例法で延期された。衆参両院議員の任期は憲法で明記されてお