[第23回] 個人情報を自己管理。エストニアの電子政府戦略 田中郁也 Ikuya Tanaka 国際編集部長代理兼GLOBE記者 クレジットカード大の1枚の身分証明書が、運転免許証として通用したかと思えば、路面電車やバスの定期券としても使える。また、銀行口座や年金受給を確かめたり、選挙の際にはネットで投票できたりもする――。 バルト海に面した北欧の小国エストニアでは、そんな電子式の「国民IDカード」の普及率が8割を超えた。 エストニアで8割の国民に普及している電子IDカード。 これがあれば、自分のさまざまな個人情報にアクセスできる。 単純な身分証明書だった従来の国民IDカード(対象は15歳以上)を、ICチップを埋め込んだ電子式カードに切り替えたのが2002年の初め。 人口134万人に対し、5年足らずで発行枚数が100万枚を超え、いまでは110万枚余りだ。「IT先進国のフィンランドやスウェー