経済評論家の池田信夫氏が、小説家の村上春樹氏の反原発の弁に誤解に基づく難癖をつけている。村上氏の発言も、費用便益分析も、現地事情も理解していないようだ。 まず、『村上のような人々が「被災地を除染して放射能を1mSvにしないと帰宅させてはいけない」と言い張っている』とあるのだが、村上氏が除染をどこまですべきか主張した形跡が見つからない。「村上氏のような人々」に村上氏が含まれないのかも知れないが、原子力政策の是非と放射線防護の適性水準は別の議論なのだから、二つに関して同じ主張をするとは限らない。 次に、(村上氏は)『毎年5000人の死者と15万人の避難者を混同している』と指摘しているが、この批判は死者の数だけで危険性を評価している。池田信夫氏が良く参照する費用便益分析では、様々な損害を一元的に取り扱うために、金銭換算を行なって評価する。それを踏襲すれば、毎年の死者5,000人と15万人の避難者