今年4月。米国系の証券会社で不動産の証券化関連の部署に所属していたAさん(31歳)は朝、いつものようにデスクに座り、パソコンを起動させようとした。ところが、何度暗証番号を打ち込んでも、システムに入れない。不審に思いシステム担当者に電話すると、要領を得ない説明を繰り返された。やがて、上司に別室に呼び出された。 「その時やっと、リストラだと気づいた。システムの人たちは前の晩から知っていたんだろう」 昨年夏にサブプライムローン問題が表面化して1年。米欧の巨大金融機関が多額の評価損失の計上に苦しむ中、各機関の日本拠点でも人員削減や事業撤退・縮小の動きが急速に広がっている。 「ボーナス提示金額1円」 Aさんだけではない。「年に1回支給されるボーナスの提示金額が1円だった」「内定をもらっていたが、入社の数日前に取り消された」「リストラと悟られないよう社外には『体調不良で長期休暇中』と説明されている」…