世界の市場が大混乱した10月の中旬を、9日間ほどニューヨークでの取材で過ごした。凄まじい1週間強だった。ニューヨーク株式市場では史上最大の上げ(13日、月曜日)と史上2番目の下げ(15日、水曜日)を記録した。銀行間取引が世界中で凍り付いた1週間だった。街の様子もいつもと違った。高級レストランからは客が遠のき、五番街のブランドショップの店員は、どこでも、このうえなく暇そうだった。世界経済が不況に突入するプロセスを、この目で見るような9日間だった。 現象面を別にして、明らかになったのは、今まで世界を牽引してきた資本の動きに対する「より自由に」という大きな考え方が見直しを迫られ、「高い成長こそ良い」という成長神話も、見直しに直面するだろうという予感である。副作用が明らかになったのだ。その先には、米国を中心とした戦後世界の経済体制のバックボーンであるブレトンウッズ体制、つまり、IMF(国際通貨基金