全ては順調なはずだった。 コラムの締め切りが迫ろうとする頃、私の頭の中には次のコラムの題材がぼんやりと形になりつつあった。誰もがグループステージの突破を予想していなかった、関塚隆率いるU-23男子代表チームと、2010年W杯で準々決勝進出まであと一歩に近づいた岡田武史率いるサムライブルー。予想以上の結果を残したこの2チームを綺麗に比較することができそうな気がしていた。 カリスマ性に欠ける監督、疑問の残る選手選考、そしてグループステージでの見事な戦いぶり。3つの共通要素が揃っていた。 電話が鳴ったのはその時だった。 「コラムのテーマだけど、なでしこの0-0の試合に変えてもらえる?」と編集長。飛行機の座席問題に続いて、澤穂希の率いるチームはまたしても的外れな理由で世界のニュースを騒がせている。この話題を是非とも取り上げたかったようだ。 「OK」と答えつつ、内心「本当に?」と思った。 引き分け狙