「世界で愛されるスゴイ日本」といった論調にだまされてはいけない。アジア各地で日本は中国の後塵を拝し、「しょっぱい国」とみられている。たとえば多大な援助を続けてきたカンボジアでも、中国や韓国の企業が目立ち、日本企業の影は薄い。なぜそうなってしまったのか。ルポライターの安田峰俊氏が、現地のエリートたちを直撃した――。 日本の存在感は私たちの想像よりもはるかに小さい カンボジアと聞いて何をイメージするだろうか? 往年を知る人なら、1990年代に内戦の収拾にあたった国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)のトップを、日本人の明石康氏が務めた歴史を思い出すかもしれない。カンボジアはその後も、JICAによるインフラや社会制度の支援、島田紳助氏や渡辺美樹氏をはじめ有名人による学校建設など、「援助」の絆で日本と強く結びついてきた。ゆえに当然ながら、現地の人たちの対日感情は良好で、日本の存在感は極めて大きい