「ブラック企業=悪」という図式は定着しつつあるが、一向にブラック企業がなくなる気配はない。しかし、ブラック企業を悪だと糾弾すれば問題は解決するのだろうか? ジャーナリストの伊藤博敏氏が、この問題について解説する。 * * * 企業はすべてブラック企業的なるところからスタートするという現実を忘れてはなるまい。「ブラック企業偏差値」の上位に名を連ねる企業には、オーナーが一代で築いたベンチャー企業が少なくない。そこにあるのは、「人と同じ発想や努力では生き残れない」というシビアな社風であり、「勝ち残り組」のオーナーは社員にも刻苦勉励を求める。 ベンチャー企業は無理をする。楽天の三木谷浩史社長のようなピカピカのエリートもいるが、東大卒であってもリクルートの故・江副浩正元会長、ライブドアの堀江貴文元社長のように“はぐれ者”も少なくない。 彼らの頭の中にあるのは、早く会社を大きくしたいという欲望であり、