昨年末の対外純資産残高が3年連続で過去最高を更新し、24年連続で世界一となったと報じられた。 「世界一」と聞くと何か誇らしげに感じるかもしれないが、経済学的な意味はそれほどない。 国際収支について復習しておくと、複式記帳になっているので、経常収支黒字(赤字)は必ず、外貨準備増減を含む広義の資本収支赤字(黒字)に等しくなる。資本収支赤字とはカネが出ていくことであり、資本供給、つまり対外資産を獲得するともいえる。これで、経常収支黒字は対外資産の増加の源であることがわかる。原則として、累積経常収支黒字が対外純資産残高になる(ただし資産のキャピタルゲインを除く)。 対外純資産残高が大きい方がいいという価値判断は、経常収支黒字が望ましいという価値判断に通じている。しかし、国際収支に損得感情を持ち込むのは正しくない。一般に経常収支は黒字の方がいいという通念があるが、経済学的には誤りである。 カナダのよ
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