8月4日、FOMCの現役メンバーの一人であるアトランタ連銀のデニス・ロックハート総裁が、今年9月の利上げを示唆する発言を行った。これによって、9月利上げの確率が一段と上昇したというのがマーケットのコンセンサスになっている。 現在、多くの市場関係者が、米国の利上げ時期を巡る憶測に右往左往している状況だが、より重要なのは、今回の利上げに始まる「出口政策=金融政策の正常化」が成功するか否かであると考える。そこで、今回は、米国の出口政策が成功するための条件を考えてみよう。 「早すぎた出口政策」の失敗 実は、出口政策に関する研究は世界的にみても驚くほど少ない。バーナンキ前FRB議長に代表されるアカデミズムの大恐慌研究における先駆的業績は、「大恐慌脱出のメカニズム」を国際比較で明らかにした点である。だが、それらの一連の研究は、リフレ政策の「導入」に至る経緯に関するものであって、出口政策自体に関する言及