バブル崩壊後の長引く不況で痛んだのは企業だけではない。そこに働く企業戦士たちの心もまた蝕まれていた。世間では時あたかもITバブル。一攫千金で金持ちになったIT長者たちが「勝ち組」と称され、会社の中では実力主義の人事制度が幅を利かせ始めた。日本社会は二極化への道をひた走っていた。その結果、現在日本は年間自殺者数3万人を超える自殺者大国に。働く人間の中に巣食う心の病はいまや、企業にとっても重大な問題となっている。 (注)会社名、肩書きなどは当時のまま 電通裁判で企業にも衝撃 自殺者数の増加が止まらない。 現代人の心の危機が深刻さを増している結果と見ていいだろう。 とりわけ、急激な変化と競争の激化に直面するビジネス社会では、誰もが心の病と無縁ではない。 「勝ち組」「負け組」――そんな言葉で企業や社員の選別が一気に進む中、頑張らなければ生き残れないというストレスも日増しに強くなる一方だ。心が病んだ