三重野康・元日銀総裁が15日に88歳で死去したとの報に、三重野氏が日本の現代経済史で果たした重要な役割をあらためて思い起こした。彼こそが1980年代終盤を彩った日本のバブルを退治した「平成の鬼平」と呼ばれた男である。 Bank of Japan 三重野元日銀総裁 使い古されてはいるが、中央銀行マンの仕事は、パーティーが最高潮に達しようとするときに、美味しいパンチ・ボールをテーブルから下げさせるようなものだとのジョークがある。三重野氏がバブル退治でとった金融政策はまさにこれで、パンチ・ボールどころか、ローストビーフやデザート、果てはパーティー盛り上げラッパまで取り上げようかという徹底した金融引き締めだった。 1989年12月に総裁に就任するや、株式や不動産市場で膨らんだバブルを排除すべく金利引き上げを立て続けに実施した。街中がにぎわっていたクリスマス当日に公定歩合を0.5%ポイント引き上げ4