"最終回 最果タヒ 今日からついに最終回だ。あともう少しで主人公である私はきみと死んで、すべてめでたしということになるのだ。この物語の伝えたいことはどうやら愛の重要性らしくて、だから私ときみはおもいっきり、生より愛を選んでいさぎよく死ぬべきらしいんだ。 緑色の霧が満ちていて、そのあとそれが極限まで薄められた森のことだと気づいた。水彩画に水を撒いたようにすべてが溶けて、混ざり合おうとしている中、息をしている。アスファルトや街灯の溶けた色が、すこしずつ肺の内側へ、混入していた。呼吸が、私と世界をかきまぜていくよ。目や、肌や、私の内臓すべて、どうなっているのだろう。鏡の前に立つのが恐ろしい。 "