* 関西弁のアレでセルフ没にしたアイデア。 * 団地平面 その団地は、無限の広さを持った面状の構造物であった。どこを原点としてもそれはここでは全く同じ意味を持つと見做せるので、仮にあなたが住んでいる部屋を(0,0)号室とすると、私が住んでいるのは(1,1)号室であった。ちょうど、斜め上にあたる部屋だ。ベランダに出て少し下に目をやると、一人分の洗濯物を大きなピンチ・ハンガーの隅に干しているあなたの姿が見える。あなたは私やこの無限の団地に住む全ての住人と同じように、同居人に先立たれてしまったのだ。 あなたと目が合った。私は頬が熱くなるのを感じる。薄い瞼の奥に埋め込まれた二つの瞳はしっとりと濡れ、儚げに西日を弾いていた。 「あぁ、(1,1)さん、こんにちはぁ」 柔らかく、でもどこかいたずらっぽく語尾が上がるこのイントネーションはこの辺りに特有の方言だ。私も同じイントネーションで「あぁ、元気ぃして