世界の奇書の1つ『サミュエル・ピープスの日記』.17世紀イギリス官僚であったサミュエル・ピープス(Samuel Pepys)は,1660年1月1日から1669年5月までの日記を遺した.この日記が公になることは長らくなかった.約10年間で125万語に及ぶこの日記は,活字にできない性質のものだった.彼は暗号で日記を記述していた.日記の内容が流出することをピープスが恐れていたからだろう. 日記を暗号で記すことは,有名な例で言えば石川啄木の日記がある.啄木は,妻に内容を知られることのないよう配慮し,ローマ字で日記を記すことにした.昭和42年のことだ. 仕様ことなしに,ローマ字の表などを作ってみた.…中略… そんならなぜこの日記をローマ字で書くことにしたか?なぜだ?子は妻を愛してる.愛してるからこそこの日記を読ませたくないのだ,―しかしこれはうそだ!愛してるのも事実,読ませたくないのも事実だが,この