ネット上でレビューを見て気になっていたのですが、最近本人のインタビュー記事を読んで、やっと購入しました。 目の不自由な在日スーダン人による著書です。 こう言ってしまうと実にサラッとしていますが、物凄いことです。著者は十九歳の時に鍼灸を学びに来日するのですが、その時点では日本語も点字もサッパリでした。知らない土地で暮らすというだけで不安なことなのに、目の見えない人が言葉も分からないまま、ほとんど予備知識のない東洋医学を学ぶ、というのは、想像を絶する苦労でしょう。 最初の一章は著者がスーダンを発つ前、ライオンのように怖いお父さんを説得する場面にあてられているのですが、お父さんが反対するのも当然です。わたしが親だったら絶対許しません。目が見えない十九歳の我が子を世界の果てに送り込んで、鍼で人を治す怪しげな術を学ばせたい、などという親がどこにいるでしょう。 本の中では軽快な調子で書かれていますが、