◇フクシマへの思い「富の陰に」 1年前の東京電力福島第1原発事故は原発のリスクを世界に再認識させ、ドイツが「脱原発」への動きを加速させるなど、欧州にも影響を広げた。原発大国フランスも例外ではない。国策で進められてきた強力な原子力産業に依存する「原発村」にも、波紋が広がっている。 英仏海峡に面した漁港沿いのレストラン。貸し切りのテーブル席で約30人の男性が食事をしていた。カウンター席で隣に座った長距離トラックの運転手という男性が「アレバの技師たちの昼食会議だ」と教えてくれた。「アレバ」はフランス政府が約90%の株式を持つ世界最大の原子力産業複合企業。レストランの主人ルクレルさん(38)は「アレバのおかげでこの村は成り立っている」と笑う。 人口540人のオモンビルラローグ村は英仏海峡に突き出したコタンタン半島にある。半島にはアレバ社のラアーグ核燃料再処理工場と仏電力公社のフラマンビル原発があり