NHKは五日、FM番組にレギュラー出演している音楽評論家のピーター・バラカン氏に東京都知事選が終わるまで原発問題に触れないよう要請していたことを認めた籾井勝人(もみいかつと)会長の国会答弁は、ラジオ第一放送で先月末、脱原発について語ろうとした中北徹東洋大教授への発言中止要請に関するものだったと明らかにした。籾井氏が質問を取り違えて答弁したとみられる。 籾井氏は参考人として出席した参院予算委員会で、有田芳生氏(民主)のバラカン氏に関する質問に対し「都知事選では原発問題が争点の一つとなっており、期間中の番組はより公平性を期する必要性がある。いろいろ検討した結果、出演が取りやめられた」と述べた。
NHKラジオ第一放送で三十日朝に放送する番組で、中北徹東洋大教授(62)が「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」などとコメントする予定だったことにNHK側が難色を示し、中北教授が出演を拒否したことが二十九日、分かった。NHK側は中北教授に「東京都知事選の最中は、原発問題はやめてほしい」と求めたという。 この番組は平日午前五時から八時までの「ラジオあさいちばん」で、中北教授は「ビジネス展望」のコーナーでコメントする予定だった。 中北教授の予定原稿はNHK側に二十九日午後に提出。原稿では「安全確保の対策や保険の費用など、原発再稼働コストの世界的上昇や損害が巨額になること、事前に積み上げるべき廃炉費用が、電力会社の貸借対照表に計上されていないこと」を指摘。「廃炉費用が将来の国民が負担する、見えない大きな費用になる可能性がある」として、「即時脱原発か穏やかに原発依存を減らして
新潟県の泉田裕彦(いずみだひろひこ)知事は十七日、本紙の取材に答え、同県の柏崎刈羽原発の再稼働を盛り込んだ東京電力の新しい経営再建計画について「最大の問題は貸し手責任のある金融機関や、株主が免責されていることだ」と指摘。東電を破綻処理して、金融機関などに責任を取らせるべきだとの考えを示した。 東電の再建計画は十五日に政府の認定を受けた。収支改善策の柱として、柏崎刈羽原発1、5、6、7号機の四基について、今年七月から二〇一四年度中に順次、再稼働することを盛り込んだ。これに対し、泉田知事は「福島の事故の検証と総括が終わっていない。再稼働の議論をするべき時期ではない」と強調した。計画通りの再稼働は、早くも難しい状況となった。 再建計画は再稼働が遅れれば、今年秋ごろまでに最大10%程度の電気料金の値上げが必要になるとも明記した。泉田知事は「負担するべきなのは、免責されている金融機関や株主だ」と述べ
中部電力(名古屋市)が浜岡原発3、4号機の増設同意を旧静岡県浜岡町(現御前崎市)から得た一九八〇年代に、公にした寄付金三十六億円と別に五十三億円を支払う約束を町と結んでいたことが分かった。本紙が秘密扱いの町の文書を入手した。当時の町長は「金額を大きく見せたくなかった」と話し、寄付金と別の「分担金及び負担金」の項目で会計処理していた。 同社と町は増設同意時に、3号機の八二年八月に十八億七千二百万円、4号機の八六年四月に十八億円の寄付金(協定書上は協力費)を同社が町に支払うとの協定書を公表していた。
東京電力が海外の発電事業に投資して得た利益を、免税制度のあるオランダに蓄積し、日本で納税していないままとなっていることが本紙の調べでわかった。投資利益の累積は少なくとも二億ドル(約二百十億円)。東電は、福島第一原発の事故後の経営危機で国から一兆円の支援を受け、実質国有化されながら、震災後も事実上の課税回避を続けていたことになる。(桐山純平) 東電や有価証券報告書などによると、東電は一九九九年、子会社「トウキョウ・エレクトリック・パワー・カンパニー・インターナショナル(テプコインターナショナル)」をオランダ・アムステルダムに設立。この子会社を通じ、アラブ首長国連邦やオーストラリアなどの発電事業に投資、参画していた。
「取り締まりのための取り締まりになっている傾向があり、警察の信頼という視点からもちょっと疑問符がつく」。今年八月、古屋圭司国家公安委員長の指摘を受けて始まった懇談会。提言では、交通取り締まりについていかに国民の理解をさらに求めるか、具体策は見えてこない。身に覚えのない「違反」で取り締まりを受けた体験を持つドライバーは不満をあらわにした。 (安藤淳、宮畑譲)
東京電力福島第一原発で、労働基準法で上限とされる十時間を超える事故収束作業をさせていたとして、富岡労働基準監督署(福島県)が元請けの東芝(東京都港区)とその下請け企業計十八社に、同法違反で是正勧告を出したことが関係者への取材で分かった。 この問題は今年十月の本紙報道で明らかになった。是正勧告を受けたのは東芝のほか、子会社の東芝プラントシステム(横浜市)など下請けの計十八社。 関係者の話を総合すると、十八社は今年七~十月半ばまでの間、福島第一の海側トレンチ(ケーブルなどを収める地下トンネル)の高濃度汚染水対策などで、作業員らに十時間を超える違法な労働をさせたとされる。 原発での作業は被ばくを伴うため、労使が合意しても通常の八時間のほかは、二時間の残業しか認められていない。 しかし、複数の作業員の証言によると、現場責任者らから、線量計に内蔵されたアラーム(九時間半に設定)が鳴る前に、いったん線
キャンドルやペンライトを手に「特定秘密保護法案」への抗議行動を行う参加者(魚眼レンズ使用)=2日、東京・永田町で(千葉一成撮影) 自民党の石破茂幹事長が自身のブログで特定秘密保護法案に反対する国会周辺などのデモを「テロ」と例えた問題で、野党は二日、「暴言だ」などと一斉に批判の声を上げた。石破氏の発言は、テロの定義が拡大解釈される懸念を強めたが、同時に政府が「テロの防止」を理由に際限なく特定秘密の範囲を広げ、国民の「知る権利」を制限する恐れがあることも鮮明になった。 (清水俊介) 二日の参院国家安全保障特別委員会で、民主党の藤田幸久氏は法案のテロの定義に関し「今までより大きく広がった。テロの解釈を拡大した法案だ」と指摘した。 秘密保護法案は、全体で三十カ所以上の「その他」がちりばめられていることで、権力側が恣意(しい)的に秘密を拡大する懸念が指摘されているが、テロの定義の条文にも「その他」が
東京電力福島第一原発事故による風評被害の賠償金打ち切り問題で、事故による風評被害で売り上げが大幅に減ったと訴える茨城県取手市の米穀販売業者も対象となった。東電側は、業者が自主的に事業を縮小したことが減少の原因とするが、業者にしてみれば事故がなければ、自ら事業を縮めることなどありえなかった。「被害者を切り捨てるのか」。怒りは募る。 (林容史) この業者は菅谷栄(すがやさかえ)さん(53)。菅谷さんは事故前、県内や新潟県産のコシヒカリを農家から仕入れ、宅配で販売していた。東京都内など全国に約七千五百世帯の顧客を持ち、年間一億二千万円超の売り上げがあった。
安倍晋三首相のインターネット上の会員制サイト「フェイスブック」に「異変」が起きている。これまで首相の投稿に対する利用者のコメント(返信)は好意的な内容が目立ったが、一日に首相が消費税率引き上げを決定した際は一時、批判が殺到した。 首相がフェイスブックを積極的に活用し始めたのは、ネット選挙運動が解禁された参院選前の六月半ば。外遊の様子などを写真付きで紹介するなど、ほぼ毎日更新し投稿してきた。 投稿には、サイト利用者ならだれでもコメントを書き込める。参院選の自民大勝や東京五輪招致の成功など、政権にとっては吉報が続き、コメント欄にも「強い日本の立て直しを期待します」などと好意的な言葉が相次いで寄せられた。
原発再稼働をめぐる論議が高まる中、原発から出る放射線量の高い使用済み核燃料を貯蔵するスペースは既に満杯に近づきつつある。「核のごみ」が解決しないまま、原発を動かしてもいずれ行き詰まるのは明らかだ。 (梅田歳晴) 電気事業連合会などによると、国内にある使用済み燃料は二〇一二年九月末時点で、少なくとも一万七千トン以上。電力会社は各原発の原子炉建屋内にある燃料プールでほとんどを貯蔵しているが、東京電力の福島第一、第二、柏崎刈羽、九州電力玄海、日本原子力発電東海第二でいずれも占有率が80%以上を占め、限界に近づいている。 青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)にも容量三千トンの一時保管スペースがあるが、再処理事業の遅れで各原発から持ち込まれる使用済み燃料がたまる一方。今年九月の時点で貯蔵量は二千九百四十五トンに達し、占有率は98%に達した。
東京電力福島第一原発の汚染水問題で、福島県民らでつくる福島原発告訴団は三日、東電が汚染水対策として原発地下の四方に遮水壁を造るのが「最も有力」と位置付けながら、一千億円規模の費用や着工時期を公表しない方針を記していた内部文書を入手したと発表した。遮水壁は結局、海側にしか設置されていない。 告訴団は同日、汚染水漏れは管理のずさんさが招いた公害だとして、この内部文書のコピーなどを添え、公害犯罪処罰法違反容疑で東電幹部らの告発状を福島県警に提出した。 告訴団によると、入手したのは原発事故から約三カ月後の二〇一一年六月に、東電から政府側にあてた内部文書という。発電所の四方に壁を造って遮水する「地下バウンダリ」という対策について、基本仕様や記者発表の対応方針が書いてある。
「汚染水対策の失敗はまさに『想定内』。今度こそ『想定外』の言い訳は許されない」。東京電力福島第一原発の汚染水問題で、福島県民による福島原発告訴団が三日、広瀬直己社長ら東電幹部を公害犯罪処罰法違反容疑で福島県警に告発した。県民たちは真相解明の役割を、同じく原発事故の被害者でもある地元の警察官たちに託した。 代理人の河合弘之弁護士は東京都内で会見し「安全よりお金を優先して原発事故を起こした東電の体質や構造は、事故後もまったく変わっていない」と批判した。 告訴団は昨年六月、原発事故をめぐり東電幹部らを業務上過失致死傷容疑で福島地検に告訴。検察当局の捜査に、東電幹部たちは「大津波は想定外だった」と過失を否定し、告訴団が求めている家宅捜索もいまだに行われていない。
東京電力福島第一原発の高濃度汚染水が海に漏れている問題で、東電は二日、護岸から一日当たり約四百トンの地下水が海に流出し続けていた可能性があると原子力規制委員会に報告した。護岸近くではトレンチ(配管などを通す地下トンネル)などに大量の汚染水がたまり、同原発の専用港でも汚染拡大が確認されている。たまった汚染水が地下水に混じって、海洋汚染が続いていた可能性がある。 東電は、陸側の地下水が一日十センチほど動いていることや、2号機周辺の護岸の改良工事を始めた直後から地下水位が上昇してきたことから、コンクリート護岸を越えて海に地下水が流出し続けてきたと推測した。 流出が始まった時期は不明だが、事故発生二カ月後の二〇一一年五月以降、流出が続いていると仮定し、放射性トリチウムの漏出量を試算、約二年間で二〇兆~四〇兆ベクレルが海に漏れたとはじき出した。福島第一で認められるトリチウムの年間放出量は二二兆ベクレ
東京電力福島第一原発事故の後、原発の安全性ばかりを強調して推進を図っていた国の原子力関連の広報事業を国自らが見直したはずなのに、事業に効果があるのかどうか分からないなど疑問符のつく事業が、いまだにいくつも存続していることが分かった。 (清水祐樹)
東京電力福島第一原発事故に伴う除染に携わる作業員らが、直面する問題を話す集会が六日、東京都文京区で開かれた。国直轄の事業で支払われる危険手当が今も事実上ピンハネされている実態や、ずさんな安全管理など変わらぬ現状が報告された。 (片山夏子) 「多重構造の中でひどいピンハネがされていた」。昨年、福島県楢葉町の除染に携わった男性(32)は、そう訴えた。日当は一万円。ところが、国から別に危険手当一万円が出ていると知った。会社に指摘すると、危険手当が支払われたかのように給料明細が改ざんされた。一方的に日当が県の最低賃金まで下げられ、危険手当と最低賃金から、会社が出すはずの宿代や食事代が引かれた形になった。
原発が立地する地域の住民らに、電気代の一部として一定額を給付する制度をめぐり、経済産業省は昨年度から、財団法人「電源地域振興センター」(東京都)に給付業務を請け負わせる規定をなくしたのに、依然として振興センターの独占受注が続いていることが本紙の調査で分かった。住民への給付の実務は電力会社が担っており、第三者を介在させる仕組み自体を見直す必要がありそうだ。 (桐山純平) 振興センターは一九九〇年に設立され、歴代理事長などに元中小企業庁長官らが就任するなど、経産省OBが天下ってきた。給付業務はセンターの主要な事業で、二〇一〇年度決算では約三千八百万円の利益を得ていた。 給付の原資は消費者が支払う電気料金の一部で、国から原発などが立地する道県へ、道県からセンターへと流れ、形の上ではセンターが住民への給付を担っている建前になっている。だが、振り込みなどの実務は電力会社に丸投げに近い状態で、センター
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く