二十三歳で、明治天皇制国家の本質を暴き、鋭く批判した大著『国体論及び純正社会主義』を発表して識者を震撼させた北一輝。のち『日本改造法案大綱』を著して、二・二六事件を引き起こす青年将校運動の黒幕と目され刑死する。以来、北に対する評価は毀誉褒貶あい半ばする。はたして、北一輝とは何者なのか。本書は、多くの北一輝論とは違い、「日本コミューン主義者」として第二維新革命のテーマにもっとも近代的、かつもっともよくできた解を提出した思想家ととらえ、この近代日本最大の政治思想家の真実像を描いた、夙に名著の誉れ高い労作。第33回毎日出版文化賞受賞作品。