幕末に江戸城周辺で繰り広げられた日枝神社の山王祭を描いた絵巻物が三重県多気町相可で見つかり、2日、現地入りした福原敏男・武蔵大学教授(59)の調査で幕末の浮世絵師・歌川国芳の作の可能性が高いことが分かった。内容から神社の氏子連が山王祭の本祭りに加えた「付け祭」の行列風景とみられる。最盛期の祭りの様子をつぶさに捉えた文化財級の貴重な絵図で、民俗学資料としても関心を集めそうだ。 絵巻物は長さ約11メートル、幅約28センチ。「墨染め桜」「ヌエ退治」「布袋とボタン」「船だんじり」を表現した張りぼてを載せた車(曳(ひ)き物)や、邦楽を奏でたり能を演じたりする人々の姿が、岩絵の具を用いて丁寧に描かれている。