政府が脱炭素社会の実現やエネルギーの安定供給に向けた新たな国家戦略を策定することがわかりました。二酸化炭素の排出削減を図るため「排出量取引」への参加を企業に義務づけることも検討し、年内の取りまとめを目指す方針です。 日本は、2050年に温室効果ガスを実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指していますが、生成AIの普及拡大に伴うデータセンターの建設などで、電力需要の増加が見込まれるうえ、中東情勢の緊迫化や円安の進行で、化石燃料に依存しないエネルギーの導入拡大が課題となっています。 このため、政府は脱炭素とエネルギーの安定供給、それに経済成長を同時に実現させるための新たな国家戦略を策定する方針です。 具体的には ▽2040年に向けた新たな政府目標を設定するほか ▽二酸化炭素の排出量に応じて、企業などがコストを負担する「排出量取引」では、2026年度の本格運用にあわせて、排出量の多い企
総務省は、太陽光発電設備の設置をめぐって各地で地元の住民とトラブルになっているケースがあるとして事業者を指導する経済産業省に対し、トラブルを防ぐため現地での調査を強化するよう勧告を出しました。 太陽光発電をめぐっては各地で設備の設置が進んでいますが、▽周辺住民への事前の説明が不十分だったり、▽設置した斜面から土砂が流出したりするなどトラブルも報告されているということです。 総務省行政評価局は、トラブルの状況を把握するため、昨年度から今年度にかけて太陽光発電設備が多く設置されている都道府県を抽出して調査を行いました。 このうち全国24都道府県の市町村を対象に行った調査では、回答があった861市町村のうち、およそ4割にあたる355市町村で設置をめぐって何らかのトラブルがあり、このうち143市町村ではトラブルが未解決のままになっていたということです。 具体的には▽周辺に生い茂った雑草の管理や▽土
再生可能エネルギーの導入拡大に向けては、太陽光や風力発電が盛んな北海道や九州と、東京などの消費地とを結ぶ送電網の整備が課題となっています。具体的な整備計画がまとまり、北海道と東京を結ぶ送電網を1兆5000億円以上を投じて新設することになりました。 脱炭素に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大が急がれる一方、太陽光や風力発電の適地が多い北海道や九州では、発電量が増えすぎて電力供給が需要を上回り、電気がむだになるケースも起きていて、消費地の東京や大阪などとを結ぶ送電網の強化が課題となっています。 これを受けて、全国の電力需給を調整しているオクト=「電力広域的運営推進機関」は、北海道や九州と、本州を結ぶ送電網の具体的な整備計画をまとめ、来年度に事業者を公募することになりました。 このうち、北海道と東京を結ぶ送電網では、1兆5000億円から1兆8000億円を投じて日本海に海底ケーブルを敷くルートを
西村経済産業大臣はNHKの日曜討論で、国連の気候変動対策の会議「COP28」において、これまでの世界全体の対策の進捗が評価されることについて、会議の議論を踏まえ、脱炭素社会の実現に向けた新しい政府目標の検討を始めたいとする考えを示しました。 UAE=アラブ首長国連邦で行われているCOP28では、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑えるため、世界全体の対策の進捗を5年に1度、評価する仕組み「グローバル・ストックテイク」が初めて行われます。 日本は、2030年度までに温室効果ガスの排出量を、2013年度と比べて46%削減する目標を掲げていることについて、西村大臣は、「再生可能エネルギーの導入と原子力発電が車の両輪だ。日本発の技術であるフィルム型の『ペロブスカイト太陽電池』などの普及を急ぐほか、原発については安全性が確認されたものは、地域の理解を得ながら再稼働を進めたい」と述べま
「COP28」は日本時間の30日午後からUAEのドバイで始まり、12月12日まで開かれる予定で、190を超える国と地域が参加する見通しです。 今回のCOPでは、気候変動対策の枠組み「パリ協定」の目標達成に向けて温室効果ガスの削減など世界全体の対策の進捗を5年に1度、評価する仕組み「グローバル・ストックテイク」が初めて行われます。 国連は、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度に抑えるためには各国の削減目標が不十分だと指摘しています。 「グローバル・ストックテイク」を踏まえ、対策の強化につなげられるかが焦点で、再生可能エネルギーの拡大や石炭や石油といった化石燃料の段階的な廃止などが議論される見通しです。 また、世界各地では大規模な洪水や記録的な猛暑が相次ぎ、気候変動による被害が深刻化しています。 前回のCOPでは、とくにぜい弱な途上国を対象に気候変動による被害「損失と損害」に特化した
建築物の脱炭素に向けて、来年度から、新築住宅などの販売や賃貸の際には省エネ性能の表示が求められることになっていて、国土交通省は、表示すべき具体的な内容を公表しました。 法律の改正に伴い、来年度から新築住宅などを売り出したり賃貸を行ったりする業者には、建物の省エネ性能を表示することが努力義務として求められます。 これを前に国土交通省は表示すべき具体的な内容などをガイドラインとしてまとめ、公表しました。 この中では、 ▽国が定める省エネ基準に対しどれだけエネルギー消費が抑えられているかを星の数で記すことや、 ▽断熱性能の度合いを段階別に数字で表すこと、 ▽1年間の光熱費の目安を示すことなどを求めています。 不動産情報を扱う大手の紹介サイトでも、来年4月からこうした省エネ性能が表示される見通しです。 一方、2025年度以降は、住宅などの新築や増築の際に、省エネ基準を満たすことが義務づけられる予定
環境省は2024年度、省エネルギー対策が遅れている既存ビル向けに、高効率エアコンの導入や断熱改修などを促す補助事業を新設する方針を固めた。 既存ビル全体の省エネ性能を底上げする狙いで、同年度予算概算要求に金額を示さない「事項要求」として盛り込む。 高性能な省エネタイプの空調や発光ダイオード(LED)を使った照明機器、断熱窓などの導入が対象となる見通し。ゼネコン大手各社は近年、工事中でもビル内の業務への影響を最小限に抑えられる改修工事を手掛けており、休業の必要はないという。 ビルの省エネでは、自家発電設備などを備えて電力などのエネルギー消費を実質ゼロにすることを目指す「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」が知られている。今回の事業は、厳しいZEBの基準を満たさなくても補助を認める方向だ。 補助率などの詳細は年末の予算編成過程で詰める。現在、既存ビルではZEBへの改修を進める民間事業者や
秋本真利衆議院議員が洋上風力発電への参入を目指す風力発電会社側から受け取ったおよそ1000万円は、政府が洋上風力発電事業の入札評価基準の見直しを公表した翌日に、議員会館の事務所で現金で受け渡されていたことが関係者への取材で新たにわかりました。 秋本議員は、会社が事業の受注に失敗した後、国会質問で入札評価基準の見直しを繰り返し求めていて、東京地検特捜部は詳しい経緯を調べているものとみられます。 洋上風力発電をめぐり秋本真利衆議院議員(47)が、東京の風力発電会社「日本風力開発」の塚脇正幸社長(64)からおよそ3000万円を受け取ったとされる事件で、東京地検特捜部は、収賄の疑いで秋本議員の事務所などを捜索し、捜査を進めています。 塚脇社長から提供された資金はおよそ3000万円にのぼっていますが、このうちおよそ1000万円は、政府が洋上風力発電事業の入札評価基準の見直しを公表した翌日の去年10月
航空業界で脱炭素への取り組みが求められるなか、成田空港に空港としては世界最大規模となる巨大な太陽光パネルが設置されることになり、空港内で消費される電力のおよそ4割を賄うことができるようになるということです。 成田空港会社は空港の脱炭素の取り組みを進めるため、東京ガスと共同で空港にエネルギーを供給する新会社「グリーンエナジーフロンティア」を設立しました。 新会社では2045年度末までに滑走路脇や敷地内の建物の屋根などおよそ200ヘクタールに180メガワットの太陽光パネルを設置する計画です。 空港会社によりますと、空港としては世界最大規模で一般家庭およそ7万世帯分の電力に相当し、成田空港で1年間に消費される電力のおよそ4割を賄うことができるということです。 会社では、太陽光パネルの設置に加えほかの発電施設の建設なども含め今後、およそ1000億円規模の投資をすることにしています。 成田空港会社は
脱炭素社会の実現に向けて、政府は日本のEEZ=排他的経済水域内に洋上風力発電の施設を設置できるようにするため、法整備を検討していくことになりました。 2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標の実現に向けて、政府は洋上風力発電を将来の主力電源の1つと位置づけ、導入を進めていきたい考えですが、経済界などからは日本の領土や領海内だけでは十分な風力を得られる場所は多くなく、限界があるという指摘が出ています。 このため政府は、日本のEEZ=排他的経済水域内にも洋上風力発電の施設を設置できるようにするため、国際条約に沿う形で法改正や新法制定を図る方針です。 内閣府によりますと、気候変動への対応が世界的な課題になるなか、イギリスやオランダなどヨーロッパ各国でEEZ内への洋上風力発電施設の設置が広がっているということです。 政府としては、こうした先行事例も参考にし、環境面や周辺国との関係への影
脱炭素社会に向けた対応として、建設機械メーカーが電動のショベルを相次いで市場に投入します。 自動車の分野では電動化が加速していますが、ことしは建機でも電動化が進みそうです。 建設機械の分野では、電池のコストがかさむことや充電インフラがないことが課題となり、これまで国内では電動化はほとんど進んでいませんでした。 しかし、脱炭素社会への対応が求められるなか、コマツは主力の中型クラスの電動ショベルを、日本やヨーロッパ市場に投入することを決めました。 エンジンに比べて騒音や振動が抑えられることから、夜間の工事などでニーズがあるとみています。 一方、さらに大きな建機の場合、電力を大量に消費するなどの課題があることから水素エンジンや燃料電池の利用を検討していて、およそ30億円をかけて栃木県に実験設備を整備することにしています。 電動化開発センタの吉田周司所長は「バッテリーだけでなく、水素やバイオ燃料な
経済産業省は、エネルギー消費が拡大するアジア各国で、脱炭素を実現するための枠組み作りを本格化させ、ことし5月に開かれる「G7広島サミット」に向けて、この分野の議論をリードすることにしています。 政府は去年、エネルギー消費が拡大するアジア各国と共同で、持続的な経済成長と脱炭素の両立に向けた枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体構想」を打ち出しています。 これを受けて経済産業省は、ことし3月、ASEAN=東南アジア諸国連合の主要国やオーストラリアなどを招いて、初めての関係閣僚会議と官民投資フォーラムを東京で開くことにしています。 ASEAN各国でも気候変動問題への対応が求められていますが、風力発電や太陽光発電に適した土地が少なく、火力発電の活用を続けざるをえないことが課題になっています。 このため、日本としては、 ▽石炭火力から、より二酸化炭素の排出量が少ない火力発電への移行などを金融面で後押
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