1.日中戦争従軍記 (昭和12年8月~昭和13年3月) 1)出発風景 昭和12年8月(1937年)召集令状、早々に町内・隣近所より祝酒、ビール、祝いの幟、等が届き出発時は家の前の広い道路は見送りの人々で一杯、警官出動して整理の中を店頭で「一死報う」と心にもない挨拶、京都駅まで一路徒歩にて(今では考えられない距離)提灯・旗行列、駅頭では大勢の方々の見送りを受ける。郷里の実家を経て金沢師団第9連隊に入隊、金沢-広島間は車中及び停車駅はお祭り騒ぎで戦地に赴く感じがしなかった。 2)揚子江呉淞(ウーソン)上陸、野営 宇品港を出航、貨物船で倉庫を2段に仕切り上下共約2畳位に3人すし詰め天井は低く真っ直ぐに寝たまま身動き出来ず蒸し暑く眠れる状態ではない。昼甲板に上がり涼を取るが玄界灘波荒く船酔いして青くなりゲーゲーする兵も居る。4・5日位で海水黄色く濁り船員が揚子江河口に近づいたと云う。海か河か陸地も