安倍晋三元首相が銃撃され死亡した後、容疑者である山上徹也の属性が報道されるにつれ、私は彼が赤の他人とは思えなくなった。私より1歳年下だが同じ就職氷河期世代で、奈良県で青春時代を過ごしている。そして、宗教2世という共通点があった。 私は天理教信者の両親の下で育ったが、最終的に信仰を拒絶して地元を離れた。天理教はカルト宗教とはされていないが、それでも私は、親からの承認と結び付いた信仰を受け入れざるをえない境遇に随分と悩まされた。「隠れ無神論者」だった私は、信仰共同体という閉ざされた世界の外に飛び出したかった。そこで窒息してしまうことを恐れたのだ。 私の寄る辺なさは県外の大学への進学やパートナーとの出会い、経済的自立によって少しずつ解消されていった。しかし、これはたまたまそうなったにすぎない。 信仰を選んだ母親 山上容疑者は、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に入信した母親の多額の献金によって
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