〈3・11〉から3カ月が過ぎて、東京のメディアはあらためて、東北が遠い・見えない・わからない、ということに気がつきはじめたようです。僕自身も、東北の被災地を少しずつ歩きながら、これまで見えていなかったことに気づかされたりしています。 先日、ある村を訪ねました。被災された方たちからの聞き書きを始めているのです。山ぎわの農家に案内されると、庭に大きなプレハブの建物がありました。そこは機械の部品を作る工場でした。内職のような手さばきで複雑な配線を編む仕事をしているのは、みな近所の女性たちでしたが、10年以上もやっているというから熟練工ですね。衝撃を受けました。何に驚いたかといえば、時給300円程度だというのです。ほとんど『女工哀史』のような光景だと思いました。そして、東北はアジアにつながっているとも感じました。 政府の復興構想会議でも、「東北はものづくりの大切な拠点だ」という話がくりかえし出てき