（中）死因究明 すぐ注意喚起 : 企画・連載 : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE（読売新聞）豪ビクトリア州法医学研究所は、解剖だけでなく、薬物検査体制の充実にも力を入れている（８月） オーストラリア南東部にあるビクトリア州の農場で１９９０年代、トラクターの横転による死亡事故が相次いだ。解剖で、いずれも死因は首の骨折や内臓破裂とすぐに分かった。 しかし、「コロナー」と呼ばれる、この国の検死官の仕事は、ここで終わらない。医学的な死因だけでなく、死に至ったメカニズムを解明するための「インクェスト」（検死審問）を開き、農業団体や重機メーカー代表者、安全工学の専門家らと事故防止策を協議した。 この過程で、もともと横転しやすいという車両の問題点が浮上した。車体の両脇に長い板状の横転防止用の部品を付けるなどの改善案がまとめられ、利用者や関係機関に勧告した。州が費用補助し、利用者の７割が車体を改良して事故はほぼなくなった。 死因の解明だけでなく、そこから得られる情報を社会の安全や健康に役立ててい
