ビッグデータの活用でバラ色の未来が来るといわれるが、本当か。 ビッグデータと聞くたびに、私は幼い頃に読んでドキドキした宮沢賢治の『注文の多い料理店』や、高校の英語の副読本で読んだジョージ・オーウェルの『アニマル・ファーム』を思い出す。 これらの小説ではヒトは家畜として扱われ、またそれこそが人間の本質だと教える。ビッグデータという技術は、便利な社会をつくる半面、小説に描かれていたヒトが家畜化した世界を現実化させるような気がする。 まずはモノや動物のチェックから ホンモノの家畜の世界では、新型インフルエンザなど疫病の管理が大きな課題になっている。鳥インフルエンザにしろ、BSE(牛海綿状脳症)にしろ、家畜の病気はやっかいだ。なにしろ飼い主の人間も家畜の親戚である。病気が移れば、ニワトリ1匹から始まって、何百万もの人が死亡しかねない。 ところが、家畜は食べ物であり、量産の対象だ。予防や治療に人間の