70年間、心の支えにしてきたものがある。たんすの引き出しいっぱい、約150通に及ぶ手紙。26歳で戦死した夫が残したラブレターだ。 寂しいとき、悩んだとき…。宮崎市の貴島テル子さん(97)は折に触れて手紙を広げる。「気持ちが落ち着いて、元気になるんです。手紙の中の彼は生きているから」。海軍航空隊のパイロットだった夫の政明さんは、1942年9月5日、ソロモン諸島で戦死した。結婚から1年8カ月、一緒に過ごせたのはたったの75日間だった。 親友の兄だった政明さんと知り合ったのは、23歳のとき。父の赴任先の中国から宮崎に帰省中だった。海を隔てた手紙のやりとりが始まり、互いにひかれていった。 《貴女(あなた)を得ればほかのものを全て失っても悔いないくらいです》《毎日毎日貴女のことでいっぱいで苦しい》《この幸福が何時(いつ)までも何時までも続く様 確信すると同時に二人でそれを築き上げませう》 手紙は3日
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