夏の到来を目前にして、ある記事の見出しが独り歩きしている。今年1月に、インターネット上で流れた「2013年は過去最高の暑さになる、NASA」と題する記事だ。 宇宙から地球を監視、観測するのは、宇宙開発のための重要なミッションのひとつだから、NASA(米航空宇宙局)が気候のことに言及するのは不思議ではない。問題は、その記事の日本語版に、NASAゴダード宇宙研究所のジェームズ・ハンセン所長(4月に退官)が「2013年の世界の平均気温が2010年の過去最高記録を破る可能性が高い」と記者会見で語ったとなっていることだ。 衛星観測によって、2012年の気温や海水温についてどんなデータが得られたか、ということはもちろん問題ないし、ひとりの科学者として、長年にわたる観測の結果から、将来予測されることを述べるのも当然あり得ることだ。しかし、今年が記録破りの高温の年になるという予測は、さまざまな因子を考慮し