本書は、日本が直面する社会や経済の問題と絡めて、田舎暮らしの意義と価値を語っている。今までの“田舎暮らし万歳”の本に比べると、捉え方がジャーナリスティックで巨視的である。 本書はこう唱える。2008年のリーマン・ショックによって「マネー資本主義」の限界があぶり出された。マネー資本主義とは、もともとはアメリカで生まれた、お金でお金を生み出す経済システムのことだ。また、2011年3月の東日本大震災によって、私たちが当たり前に利用している食料やエネルギーの補給路が実は極めて脆弱であることが明らかになった。だからこそ、今、日本では新しい経済システム、社会システムの確立が求められている。本書はそのシステムが日本の田舎で勃興しているという。「過疎」地域とも言える中国地方の山間地で生まれ、立派に機能しているというのだ。 そのシステムが「里山資本主義」である。定義すると、〈かつて人間が手を入れてきた休眠資
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