本年の1月グーグルが中国のビジネスから撤退を表明したことに対する評価が、日本やヨーロッパ、アメリカのみならず中国国内のハッカーたちからも支持されていることは驚きである。この決断にはグーグル創始者のひとりで、幼児期をロシアで過ごしたことのあるセルゲイ・ブリン氏の意向が強く反映したと報道されている。 リアリズムとリベラリズム 国際関係理論には大きく2つの思想がある。第一次世界大戦終了後にヨーロッパのエシュタブリッシュメント達の間で「どうしたら悲惨な戦争を防げるのか」と考える人と「どうしてこのような戦争が起こるのか」考える人が現れた。大まかに前者をリベラリズムと称し、後者をリアリズムと称している。 リベラリストたちは戦争の原因を多くは貧困と無秩序にあると考え、経済的に相互依存を高め相互が豊かになり、世界政府を樹立して秩序を回復すれば戦争は起こらないと考えた。これが国際連盟や国際連合の基本構想であ
![グーグルの中国撤退はアメリカの対中政策に影響を与えたのか ―中川信博](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5ca3e12d98a36e5b182766185b63cd33c26a509a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fagora-web.jp%2Fcms%2Fwp-content%2Fuploads%2F2021%2F07%2Fagora-twitter.jpg)