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ブックマーク / book.asahi.com (117)

  • コラム別に読む : ふしぎなキリスト教 [著]橋爪大三郎、大澤真幸  - 佐々木俊尚(ジャーナリスト) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■世界の「普遍」を知るために 今年の新書大賞を受賞した書は、社会学者2人がキリスト教の基概念を快刀乱麻を断つがごとくばっさり構造化して説明している。たとえば奇蹟(きせき)とは何か。世界はすみずみまで合理的で誰も自然法則を動かせず、ただ神だけが法則を一時停止して奇蹟を起こせる。つまり世界の合理性が前提にあるからこそ、奇蹟の概念が成り立つのだという。世界に合理性を求めない日の伝統とは前提が違う。 書が売れている背景には、二つの要因があると考える。 近代以降の日と国際社会の戦いは、言ってみれば普遍をめぐる戦いだった。孤立した島国に住む日民族には、世界と勝負できる普遍性がない。だが戦後の高度成長では日のものづくりが世界市場を席巻し、日の生んだVHSやCDといった規格が世界標準へと達した。しかし昨今はすっかり失速し、ガラパゴスという流行語が陰(いんうつ)に日を覆っている。普遍の獲

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    RanTairyu
    RanTairyu 2012/04/13
  • 宮崎学『「自己啓発病」社会』書評 切り離せぬ「自助」と「相互扶助」|好書好日

    「自己啓発病」社会 「スキルアップ」という病に冒される日人 (祥伝社黄金文庫) 著者:宮崎 学 出版社:祥伝社 ジャンル:雑学・その他 「自己啓発病」社会 [著]宮崎学 1990年代以後「自己啓発」のためのがブームとなってきた。このようなは昔からあったように思えるが、著者によると、80年代に流行したのは「自己開発」のためのである。どちらも自己改造を説くものではあるが、「自己開発」書が、集団的拡大のための自己改造を説くのに対して、「自己啓発」書は、自己中心的でポジティブ思考を唱え、資格取得、スキル・アップなどを勧める。著者は、「自己開発」はバブル時代のイデオロギーであり、「自己啓発」はバブル崩壊後、特に小泉純一郎に代表される新自由主義とつながるイデオロギーであるという。 バブルの頃まで日の企業は終身雇用制をもつ一種の共同体であり、企業間にも談合制などの相互扶助的な共同体があった。こ

    宮崎学『「自己啓発病」社会』書評 切り離せぬ「自助」と「相互扶助」|好書好日
    RanTairyu
    RanTairyu 2012/04/10
  • 「バナナの世界史」書評 ヒトがつくりかえてきた生命|好書好日

    バナナの世界史 歴史を変えた果物の数奇な運命 (ヒストリカル・スタディーズ) 著者:ダン・コッペル 出版社:太田出版 ジャンル:技術・工学・農学 バナナの世界史 歴史を変えた果物の数奇な運命 [著]ダン・コッペル バナナは、あのあまりにもあからさまなカタチにもかかわらず、かわいそうに、一度もセックスをしたことがありません。なぜなら、バナナはタネなしだからです。 バナナの原種は、硬くごろごろしたタネがたくさん入ったとてもべにくい果物でした。ところが自然のいたずらで、あるとき、タネがないのに果実だけが太る突然変異種が出現しました。 とはいえ、タネができない植物をいったいどうやって増やすことができるのか。バナナは地下茎を伸ばすので、これを株分けすると簡単に大規模栽培ができるのです。 なかでもグロスミッチェルは優れた品種でした。大きくて皮が厚く、舌触りはなめらか、味は濃厚でフルーティー。これに目

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    RanTairyu 2012/04/10
  • 「図説 尻叩きの文化史」書評 愛と人間味にじみ出る奇書|好書好日

    図説 尻叩きの文化史 [著]ジャン・フェクサス 奇書である。先日、野村萬斎氏が演出した『サド侯爵夫人』(三島由紀夫原作)を観劇し、その余韻のなかで書を手に取った。タイトルに「図説」と銘打たれているとおり、古今東西の尻叩きに関する図版が豊富で、それらを概観するだけでも、こののぶっ飛び具合が伝わってくる。 著者は元弁護士で、「エル」や「フィガロ」といった女性誌のイラストレーターの仕事をこなし、かつては警察官でもあったという変わり種である。彼の著作の一つ『おなら大全』は、故・米原万里さんが以前書評を書いていたので覚えている。熱心な性の探求者で、しかもマニアックな性格を持ち合わせていることは、多くの図版の提供者に自身の名を挙げていることからもうかがえる。努めて上品かつ生真面目に分析しつつも、書き手の嗜好(しこう)や気持ちがページの随所に滲(にじ)み出しているのが面白い。そうした人間味が垣間見ら

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    RanTairyu 2012/03/28
  • 「安部公房の都市」書評 廃墟を取り込み、変転する都市像|好書好日

    安部公房の都市 [著]苅部直 『安部公房の都市』。サブタイトルはない。帯には「人気政治学者が読み解く」とある。少しでも安部作品の評論を読んだことがある人なら、手に取るのをためらうかもしれない。安部作品における都市の問題は、すでにいくつもの論があるからだ。いまさら、何か新しい発見があるのか? 著者が安部作品と出会ったのは、小学生の頃、『人間そっくり』か『第四間氷期』のどちらかをSFとして読んだのが最初だという。これは私も同じ体験を有している。安部が満州からの引き揚げ者であることも、共産党員だったことも知らず、無邪気に安部と邂逅(かいこう)してしまうのは、60年代生まれの特徴であろう。高度経済成長のただ中、変貌(へんぼう)した後の都市しか知らない世代が安部作品をどう読むのか、という点がまず関心をひく。 書では、安部の中期に位置づけられる作品が中心に論じられる。たとえば、都市の無名性に埋没し自

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    RanTairyu 2012/03/28
  • コラム別に読む : 吉本隆明の経済学 中沢新一さんが選ぶ本 - 中沢新一(人類学者) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■「価値一般」を串刺しにする思考 吉さんには、まとまった経済学の著作といったものはない。しかし経済の問題は、文学や政治の問題と並んで、吉さんの重大な関心領域であり続けた。スミスやマルクスの経済学を学ぶことから出発しながら、現代の新しい現実と格闘しているうちに、吉さんは独力でひとつの体系をつくってしまった。 その体系はいわばヴァーチャルなもので、目に見えるかたちでは、折にふれての思考としてしか表現されなかった。それでも、それらをつなぎあわせてみると、とても未来的な可能性を秘めている、ひとつの経済学の一貫した考え方が、浮かび上がってくる。 初期の『言語にとって美とはなにか』の中で、吉さんはマルクスが経済の研究から着想した「価値」の概念を、文学の領域に創造的に転用することで、言語学や文学理論のはるか先を行く視点を、切り開いてみせた。増殖するというのが、価値の重要な特徴である。じっさい私た

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    RanTairyu 2012/03/22
  • コラム別に読む : 欲情の文法 [著]睦月影郎 - 青木るえか | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■エロ小説はファンタジーの世界なのだ 子供の頃、エロが読みたくてもなかなか手に入らないから、やむなく自家発電のために自分で書いたり描いたりします。私もやりました。描くほうは早々に挫折して(人間二人がからんでる絵って、ものすごくむずかしい)、書くほうに狙いを絞ったが、文章でもエロは難しかった。へんに気取ったようなのでは到底抜けるものではないし、抜こうと思うと果てもなく下卑てしまう。上手な作家様のお書きになったものを楽しもう、早く大人になって、とこちらも早々に見切りをつけた。そして大人になって、贔屓の作家も見つけて楽しんでいる。 なのでこのような「官能小説書き方指南」は今の自分には不要なのだが、なぜ幼い頃に失敗したのか知りたく読んでみた。 めくったとたん「(1)避妊はいらない(2)生理中ということがない(3)処女でもイク」と太字で書いてあって笑った。エロ小説ってほんとそうだ。私の好きな先生

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    RanTairyu 2012/03/16
  • 「痕跡本のすすめ」書評 本との対話や格闘、生々しく|好書好日

    痕跡のすすめ [著]古沢和宏 「函(はこ)欠、背ヤケ、文点シミ、線引き・書込みあり」。古書店で商品に付けられたこんな注意書きを目にして、あえて購入する人は少数だろう。函がなく傷んでいるうえに、傍線や書き込みなんかがあると読むのに邪魔でしょうがないからだ。 ところが、こうした古市場での落ちこぼれに新たな価値を見出(みいだ)そうとする人が現れた。「古書 五っ葉文庫」店主古沢氏である。 氏は、前の持ち主の読書形跡が濃厚に残ったを「痕跡」と名づけ、古書ならではの楽しみ方を指南している。古にはさまっていた葉書(はがき)やチラシ、文に引かれた線や書き込み、表紙裏に貼られたシールや押し花。栞(しおり)代わりに偶然はさまれた物もあるだろうが、それらは、がある人によってどのように読まれたか、ということを如実に示す場合も多い。 とくに、の内容と深く関わる線引きや書き込みは、と読者との対話

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    RanTairyu 2012/03/06
  • 「トクヴィルの憂鬱」書評 平衡を踏みにじる群衆の暴政|好書好日

    トクヴィルの憂 フランス・ロマン主義と〈世代〉の誕生 [著]高山裕二 革命とナポレオン専制を経た19世紀前半のフランス。身分制から解放された「新しい社会」には、自分が何者でもないという不安に苛(さいな)まれる「新しい世代」が誕生した。社会的拘束から自由になり、個人として偉大な事業を成し遂げたいという野心を持つ一方で、彼らは明確な存在根拠を失い、平準化する社会の中で孤独感と恐怖に苦しんだ。 トクヴィルは、新しい世代の苦悩を体現する人物だった。彼は「全般的な懐疑」の念を有し、不信を深めた。彼は人間の不完全性を自覚し、理性では掌握できない精神的な次元を人間が有していると考えた。トクヴィルは「絶対や完全」を根から疑った。しかし、「見失われる恐怖」にとりつかれ、絶対を熱烈に探求した。彼は「存在しないと自覚しながらそれを渇望する」という矛盾を生きなければならなかった。 この逆説は、確信の持てない絶

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    RanTairyu 2012/02/29
  • 「平等と効率の福祉革命」書評 豊富な裏付けから子育て支援を提言|好書好日

    平等と効率の福祉革命 新しい女性の役割 著者:イエスタ・エスピン=アンデルセン 出版社:岩波書店 ジャンル:社会・時事・政治・行政 平等と効率の福祉革命―新しい女性の役割 [著]イエスタ・エスピン=アンデルセン 福祉の議論は公共頼みになりがちだ。医療も高齢者も育児も失業も国がもっと金を出せ——。でも、家庭や企業も福祉をかなり提供している。そのバランスを見ないとだめだ、と看破したのが書の著者エスピン=アンデルセンだった。きたる高福祉社会に向けて、彼は女性をもっと働かせろと主張した。福祉サービス職を増やし(企業の事業機会)、女性を働かせ(家計収入増大)、税収を増やせ(公共の負担力増大)! この分析と提言は大きな影響を与えた。そして女性の労働進出は進んだ。でもまだ中途半端な水準だ。一方であらゆる社会では格差の固定化と拡大が進んでいる。なぜだろう? 書はこの問題に取り組む。そしてまたもや明快な

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    RanTairyu 2012/02/01
  • 「人間 昭和天皇」書評 皇室記者の強みに客観性加え|好書好日

    人間 昭和天皇(上・下) [著]高橋紘 このところ昭和天皇伝(論)の刊行が相次ぐ。従来とは異なる視点が目立つ。確かに先行書には皇室記者会に所属した皇室記者の系譜がある。この一連の書には、昭和天皇と会話を交わしたという強みと、それゆえに客観性、歴史性欠如の弱みが抱え込まれている。書はその系譜に連なる書だが、意図的にその強みを突出させ、弱みの克服を試みた書である。 過剰な思い入れや慮(おもんばか)りを排し、冷静に客観的に一つの史実の裏側、その背景や人間関係などを平易に記述している。皇太子時代の第1次大戦後の戦跡を見ての非戦の感想、皇女、皇子を手元で育てたいと望みつつ、貞明皇太后や元老西園寺公望に反対されての挫折から、実は天皇と弟宮(特に高松宮)が戦争責任を巡る発言で不仲だったことや、香淳皇后の非社会的態度、入江相政侍従など宮中側近の時代感覚のズレなど具体的に書き込み、読者に正確な情報、知識を

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    RanTairyu 2012/01/31
  • 書評・最新書評 : アーティストのためのハンドブック [著]デイヴィッド・ベイルズ、テッド・オーランド [訳]野崎武夫 - 山形浩生 (評論家、翻訳家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■勇気を与える古典的なガイド 自分に才能はあるのか、商業主義に迎合していいのか、このまま芽が出なかったらどうしよう、空気を読むべきか、スランプからどう脱出すべきか、自分のやっていることに意味はあるのか——書が正面から取り組むアーティストの悩みは、他の人々も日々直面するものだ。そして書が与える回答やヒントも、ごくストレートなものだ。才能より努力、でもその努力が報われる保証はない。正解はないので苦闘するしかない、でも同じ苦闘するなら、やりたいことをしよう——その答えも、他の仕事や活動すべてにあてはまり、アーティスト以外でも勇気づけられる。 むろん、アート業界特有の問題などにも触れる。同じくアーティストの古典ガイドとして読み継がれ最近翻訳された、ヘンライ『アート・スピリット』よりは実務的ながら、いずれも長年読み継がれてきただけあって、シンプルで穏やかで普遍性を持つ。仕事、学業その他すべてに悩

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    RanTairyu 2012/01/25
  • 本の記事 : 「大人のTSUTAYA」が東京・代官山にオープン | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    コンシェルジュ間室道子さんに聞く棚づくり 昨年12月、東京・代官山の住宅街に3棟からなる「代官山蔦屋書店」がひっそりとオープンした。50代以上をターゲットにした「大人のTSUTAYA」にはクチコミで客が集まり、作家やミュージシャンなども利用する。人文・文学コーナーのコンシェルジュ、間室道子(まむろ・みちこ)さんに、そのコンセプトを聞いた。 ★写真特集はこちらから コンシェルジュの間室道子さん。通称「間室コーナー」で。 「プレミアエージ」から若者まで 代官山蔦屋書店は、文具、旅行映画音楽などのコーナーに、計30人のコンシェルジュを置いている。コーナーごとの目利き(コンシェルジュ)が売り場の商品構成を決める棚作りが特徴だ。 間室さんは青山ブックセンター(ABC)六木店の名物書店員として知られ、在職中から二足のわらじで書評小説のオビなどを書いてきた。2011年夏に25年勤めたABCを辞

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    RanTairyu 2012/01/25
  • 「贈与の歴史学」書評 合理的でドライだった中世人|好書好日

    贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ (中公新書) 著者:桜井 英治 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 贈与の歴史学―儀礼と経済のあいだ [著]桜井英治 お歳暮の手配が終わったら年賀状を書き、出していない人から賀状が来たら慌てて返す。たとえそれが、すぐに顔を合わせる人であってもだ。もらったからにはお返ししなければならない、という意識は、現代でも脈々と生き続けている。 こうした贈答儀礼を虚礼だ、建前ばかりで情が薄い、などと批判する人が書を読んだなら驚くことだろう。主従関係が血より濃く、絆で深く結ばれた共同体が形成された時代、というイメージが広く流通している中世像だが、こと経済活動に関していえば、その姿はあっけなくくつがえされるからだ。中世人は贈答において、現代人以上に合理的かつドライな計算をしていたのである。 中世では、贈答品は「もらって嬉(うれ)しいもの」ではない。物

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    RanTairyu 2012/01/17
  • エマ・ドナヒュー「部屋」書評 監禁された母子の日々、やがて|好書好日

    部屋 [著]エマ・ドナヒュー どうなるのだろう。もし、見知らぬ男に何年も監禁されたとしたら。男に妊娠させられ、監禁されている部屋で出産するとしたら。誰にも相談できないまま、その赤ん坊を育てるとしたら。男は部屋に鍵をかけ、最低限の料だけは運んでくる。台所とトイレはあり、電気と水は使える。映りの悪いテレビもあることはある。外界からは完全に遮断され、天窓から見えるのは空だけ。彼女はどんな母親になり、赤ん坊はどんな子どもになるのだろう。 ドナヒューの小説は、こんな緊迫感のある設定から出発している。閉鎖された空間で子育てをする女性と、5歳になったばかりの息子の生活が、息子の視点から語られている。外界をまったく知らず、自分たち以外の人間はテレビでしか見たことがない子どもの語る日常が、意外な喜びや発見に溢(あふ)れている。監禁されているという事情を知らず、母親を独占して過ごす彼の日々は、単調でこそあれ

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    RanTairyu 2012/01/10
  • わたしのグイン・サーガ - 特集の本棚 - 本に出あう - BOOK asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    『グイン・サーガ』を読んだことがありますか?  作家・栗薫(1953~2009、別筆名に中島梓)さんが30年以上にわたって書き継いだファンタジー小説で、「正編」130巻、「外伝」21巻に及ぶ世界最長の物語です。  豹頭の戦士・グインの活躍を新刊を待ちながら読んだオールドファンも、アニメ化をきっかけに新装版を手にとった人も、刊行中の電子書籍で初めて出会った人も、それぞれのグイン体験があったと思います。その「あなたのグイン・サーガ体験」をブック・アサヒ・コムのレビューに書いてみませんか(約千文字以内)。 寄せられたレビューのなかから印象的なものを、栗さんの最も身近にいた編集者・夫で、創作の現場を見守り続けた今岡清・元S-Fマガジン編集長とともに選び、この特集内で紹介します。紹介された方には栗さんが生前使っていた千社札などをプレゼントします。詳細はこちら。     ◇  まずは今岡さんの語

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    RanTairyu 2012/01/07
  • 「Cooking for Geeks」「味わいの認知科学」書評 科学実験のように料理する|好書好日

    Cooking for Geeks 料理の科学と実践レシピ (Make:Japan Books) 著者:Jeff Potter 出版社:オライリー・ジャパン ジャンル:暮らし・実用 材の味と風味の組み合せ方から、熱の加え方の違いが材に与える影響、パンやお菓子の生地に空気を含ませる方法まで、料理の科学的な仕組みを詳説。100以上のレシピ、科学者やシ… Cooking for Geeks [著]ジェフ・ポッター/味わいの認知科学 [編]日下部裕子・和田有史 料理マンガでありがちなのが、才能と情熱の天才料理人(主人公)が、理論とコンピューターを駆使した科学者料理人と対決する話だ。もちろん「冷たい科学じゃ人の心は動かせないぜ!」と主人公が勝つのがお約束。 が、料理の相当部分は物理化学反応だし、科学的な知見は当然役にたつ。直感と試行錯誤は重要だが、科学知識はそれに方向性を与え、失敗を大幅に減らし

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    RanTairyu 2011/12/08
  • 宮崎駿「本へのとびら 岩波少年文庫を語る」書評 児童文学伴侶に、創造に絶望せず|好書好日

    アニメーション映画監督・宮崎駿が、長年親しんできた岩波少年文庫の中からお薦めの50冊を紹介。あわせて、自らの読書体験、児童文学の挿絵の魅力、3.11震災後の世界についてな… へのとびら 岩波少年文庫を語る [著]宮崎駿 縁側の板間の廊下で肘(ひじ)をついて寝そべった姿勢でを読み耽(ふけ)っているオカッパ頭の少年の側(そば)に寄り添う庭の白い犬。犬がに代われば僕の少年時代の自画像と言ってもちっとも不思議ではない宮崎駿さんの少年時代の自画像が、書の口絵をカラーで飾っています。 そして次の見開き頁(ページ)には400点を超える岩波少年文庫の中から50冊を選ぶため候補を床に並べて感慨深げに沈思黙考しておられる仕事着の宮崎さんの嬉(うれ)しそうな優しい顔に、児童文学への愛が語られているのが読み取れます。 巻頭カラー頁で宮崎さんが選ばれた50冊の岩波少年文庫の表紙や挿絵が紹介され、その一冊ず

    宮崎駿「本へのとびら 岩波少年文庫を語る」書評 児童文学伴侶に、創造に絶望せず|好書好日
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    RanTairyu 2011/12/07
  • コラム別に読む : ビブリア古書堂の事件手帖 [著]三上延 - 瀧井朝世(ライター) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■若き女性店主が謎を解く 情緒あふれる北鎌倉の町に、ひっそり佇(たたず)む木造家屋。そこは小さな古書店だ。うら若き店主の栞子(しおりこ)は極度の人見知りだが、の知識と洞察力は人一倍。彼女が古にまつわる謎を解き明かしていく連作シリーズが、ただ今絶好調である。 古書に関する雑学は知識欲を刺激し、一冊のを巡る人間ドラマは味わい深い。栞子の鮮やかな推理も痛快だ。また、彼女とアルバイトの青年の間に漂う恋の予感が甘酸っぱい。つまり書は老若男女誰もが楽しめる要素のつまった“知的&胸キュン”ミステリーなのだ。 著者は中高生向けの電撃文庫で小説を発表している作家。一昨年、版元がさらに広い読者層を対象にしたメディアワークス文庫を創刊。著者にも執筆を依頼すると「古書店を題材にしたい」と提案が。実は三上氏は古書店で働いていた経験があり、稀覯(きこうぼん)についても相応な知識の持ち主だという。 第1巻には

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    RanTairyu 2011/12/01
  • 『「方言コスプレ」の時代』書評 方言は土地固有じゃおまへん|好書好日

    「方言コスプレ」の時代―ニセ関西弁から龍馬語まで [著]田中ゆかり 「ひったくり許しまへん」。11月20日付紙(大阪社版)の京都市内ニュース面に、こんな見出しが躍っていた。京都市のひったくり発生件数が全国ワースト2という記事だが、驚いたのは中身よりこの見出し。いやぁ、京都育ちのうちかてこんな古くさい言葉使わしまへんぇ。って、使うてるがな。 これが、今や全国区になった方言コスプレの一見である。この京都方言は私のような中高年でもほとんど使わないが、他地方の人に「いかにも京都らしい」感じをわかりやすく伝える。日常的に京都方言を使用している私が、「いかにも」な方言でコスプレしているのだ。著者の表現によれば、「リアル方言由来の『土地』との結びつきをもつヴァーチャル方言」ということになる。 またこれは、自分でボケてツッコむ「お笑い」系の方言として周知される、ヴァーチャルな関西方言ということもでき

    『「方言コスプレ」の時代』書評 方言は土地固有じゃおまへん|好書好日
    RanTairyu
    RanTairyu 2011/11/29