■世界の「普遍」を知るために 今年の新書大賞を受賞した本書は、社会学者2人がキリスト教の基本概念を快刀乱麻を断つがごとくばっさり構造化して説明している。たとえば奇蹟(きせき)とは何か。世界はすみずみまで合理的で誰も自然法則を動かせず、ただ神だけが法則を一時停止して奇蹟を起こせる。つまり世界の合理性が前提にあるからこそ、奇蹟の概念が成り立つのだという。世界に合理性を求めない日本の伝統とは前提が違う。 本書が売れている背景には、二つの要因があると考える。 近代以降の日本と国際社会の戦いは、言ってみれば普遍をめぐる戦いだった。孤立した島国に住む日本民族には、世界と勝負できる普遍性がない。だが戦後の高度成長では日本のものづくりが世界市場を席巻し、日本の生んだVHSやCDといった規格が世界標準へと達した。しかし昨今はすっかり失速し、ガラパゴスという流行語が陰鬱(いんうつ)に日本を覆っている。普遍の獲
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