5月初め、東芝は新社長の人事を発表した。構造改革に一定の目途が付いたためとされている。同社の不正会計が発覚してほぼ1年が経過した。医療機器子会社の売却、家電やパソコン、半導体など各事業の抜本的な構造改革、1万人規模の人員削減等々、様々なリストラ策が講じられた。不正会計を行い、構造改革を先送りした結果、このような大規模なリストラを同時に行わなければならなくなっている。不正が発覚した当日(2015年5月8日)の株価(終値)は483.3円だったが、今年2月半ばには直近の安値155.0円を付けた。約7割の下落である。東芝には昨年12月、証券取引等監視委員会から有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告が出され、同月金融庁は課徴金納付命令を決定した。 不正会計の第一義的な責任は当該企業にあることに疑念の余地はない。しかし、会計監査という仕組みがあるなかで、なぜ監査人は不正を見抜けなかったのか