「Jコイン」は「仮想通貨」と呼べるか 9月17日付の日本経済新聞は、「邦銀連合で仮想通貨」という見出しで、円と等価交換ができる仮想通貨「Jコイン」を扱う新会社「Jコイン会社」が設立されると報じた。個人がインターネットや店舗での支払いに使える新しい仮想通貨の創設に向けて、みずほフィナンシャルグループやゆうちょ銀行、数十の地銀が連携するのだという。しかし記事を見る限り、この構想は、アリペイなど中国で急成長を遂げたスマホ決済の仕組みに近いものであり、新たな仮想通貨であることを強調するのは、ややミスリードではないかとも感じられる。 ここでは、決済コストを大幅に低下させる新技術である分散型元帳技術(DLT)が利用される訳でもなく、また新たな仮想通貨は常に円と同価であることから事実上円決済である。この点から、ビットコインのように通常「仮想通貨」と呼ぶものとは全く異なるものと見られる。 基本的な決済のシ
今回は、FinTechをきっかけに再び国内外で注目が集まっているワード「金融包摂(financial inclusion)」について取り上げます。 金融包摂とは 世界銀行グループの研究機関CGAP(Consultative Group to Assist the Poor)では、金融サービスへのアクセスの提供によって貧困層の生活を改善することに取り組んでいます。そこでは金融包摂を「すべての人々が、経済活動のチャンスを捉えるため、また経済的に不安定な状況を軽減するために必要とされる金融サービスにアクセスでき、またそれを利用できる状況」と定義しています。 全世界規模で見ると、銀行から正規の融資などの一般的な金融サービスにアクセスできない成人はおよそ25億人に上るとの推計(※)があります。金融包摂は、貧困の削減に金融サービスのアクセスが重要であるという関係性が認識されはじめた2004年ごろより国
はじめに 9月の記者会見を「経済と物価の先行きに予想以上に慎重な見方を示したもの」と総括できるとすれば、今回は「追加緩和の実施に予想以上に踏み込むもの」と理解できる。だからこそ、既に先行きの追加緩和を意識していた金融市場ですら、記者会見の進行中にユーロ相場や域内主要国の長期金利などの面で大きな反応を見せた訳である。もっとも、追加緩和に踏み切るとしても、手段の選択は必ずしも容易ではないことも示唆する記者会見となった。 景気判断 今回の声明文やドラギ総裁による説明が示すように、政策理事会による景気判断はシンプルである。つまり、内需は、金融緩和の効果や財政緊縮の減速、そして輸入物価の下落による実質所得の増加によって、家計消費を中心にresilientである。しかし、外需は新興国経済の減速によって影響を受けており、かつ先行きに不透明な面があるというものである。 こうした見方自体は9月時点と大きく変
リーマンブラザーズの破たんに端を発した先の金融危機後、銀行の新たなリスク管理の枠組みとして世界的に注目されるようになったのが「リスク・アペタイト・フレームワーク」です。 一般的に銀行では、予算計画策定時に、どれだけリスクをとって、どれだけ利益を上げるかを決めますが、計画の実行段階においては、リスクはリスク管理部門が、収益は企画部門が、というように別々に管理しています。そうではなく、リスクと収益を一体化して事業を運営する考え方が、リスク・アペタイト・フレームワークです(※) 。 ※本定義は、NRIが実施した海外事例調査にもとづいたもの。リスク・アペタイト・フレームワークについては、2013年7月に金融安定化理事会から「効果的なリスク・アペタイト・フレームワークの原則」が公表され、用語の定義の確立に向けた取り組みが進められている。 現行の経営管理上の課題とリスク・アペタイト・フレームワークへの
2013年1月1日、東京証券取引所グループと大阪証券取引所が統合し、日本取引所グループが発足しました。現在、日本取引所グループ傘下に東京証券取引所(以下、東証)と大阪証券取引所(以下、大証)の2つの取引所が存在していますが、今後、現物市場は東証へ、デリバティブ市場は大証へそれぞれ集約していくとのことです。 市場統合の概要(現物市場) 東証および大証によると、2013年7月16日より現物市場を東証へ、2014年3月にデ リバティブ市場を大証(※)に、それぞれ統合されます。現物市場の統合では、東証に統合し、あわせて 売買システムは東証のシステム(arrowheadおよびToSTNeT)に統合するとのことです 。統合後の東証現物市場は以下のようになり、現在の大証のうち、JASDAQ市場を除く 現物市場は消滅します。 基本、左図のように上場銘柄 の市場が変更になります。上場基準は東証の制度に統合さ
日経平均株価が1,143円安という急落を演じた5月23日以降、第二次安倍内閣の経済政策アベノミクスへの期待の高まりを背景に、ほぼ一本調子の上昇を続けてきた日本市場で株価が乱高下している。 こうした中で、近年活発化しているHFT(高頻度取引)が、市場の攪乱要因になっているとの指摘がみられる。市場監督の最高責任者である麻生太郎財務相兼金融担当大臣も「HFTという機械に乗せて(取引を)やると、一方的に上がり始めるとうわっと上がるし、下がるときはだっと下がる。人間だったらそんなことにはならない」と述べた(28日、ロイター報道)。 HFTとは、コンピュータ・システムが市場の気配値や注文状況などの変化に応じて、自動的に株式売買注文のタイミングや数量を決めて発注する仕組みを構築し、時には1秒間に数百回といった高頻度で売買を繰り返す取引手法である。取引所のホスト・コンピュータが所在するサイト内に発注サーバ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く