6月に就任した日本政策投資銀行の渡辺一社長は、経営の効率性や収益性を示す株主資本利益率(ROE)を、今後3メガバンクなど他の金融機関とそん色ない水準まで引き上げる考えを示した。将来の完全民営化に備えて、一般株主の評価に耐えうる収益性を追求する狙い。 渡辺社長は先月のブルームバーグとのインタビューで、民営化を見据えた場合の一番の課題を「収益力だ」とし、「ROEを世間並みに近づける努力をしている最中だ」とした。3月末現在の三菱UFJフィナンシャル・グループなど3メガバンクのROEが平均8%なのに対し、政投銀は3.1%にとどまっている。 政府系金融機関である同行は、民間企業と違い公共性が求められるため、単純に収益だけを追えない側面がある。民営化計画はリーマンショックや東日本大震災などを受けて事実上凍結されているが、渡辺社長は「法律上は完全民営化のレールにまだ乗っており、いつそうなっても対応できる