■要旨 ○ 社会保障・税一体改革の低所得者対策として検討されてきた軽減税率と給付付き税額控除を、3つの側面((1)低所得者対策としての有効性、(2)制度設計上の問題、(3)納税事務負担の問題)で比較し、制度的には給付付き税額控除が望ましいといわれる理由を整理した。 ○ しかし、政治的には、増税に対する「国民の理解」を得るために軽減税率が選ばれた。 ○ 世界では軽減税率の問題点が数々指摘されているにも関わらず、欧州では古くから軽減税率を導入し続けている国が多い。これには一度導入すると止めることが難しいことが関係している。こうした欧州の反省を踏まえ、軽減税率を敬遠する国も増えてきている。 ○ 軽減税率導入に向け、これから品目選定の議論が始まる。品目ごとに軽減税率を適用した場合に要する財源規模を推計した。食料の軽減税率を8%にすると1.2兆円、5%にすると3.1兆円に跳ね上がる。また、食料でも外