「松下電器産業」を通じて戦後の日本経済の歩みをたどる「ナショナルと戦後の風景」。こうした戦後社会の根っこはどう形づくられたのだろうか。高度成長は戦時中の国家総動員体制の産物だと考察した「1940年体制」の著者、野口悠紀雄さん(74)に話を聞いた。 ――「1940年体制」とは何を指すのですか。 「日本経済は1940年ごろ大転換しました。それまでの市場主義経済が、統制的な経済になったのです。国の指導のもと資源配分される仕組みになり、その仕組みが終戦にもかかわらず継続して、高度成長を支えました。これがわたしの『40年体制』の主張です」 「多くの日本人は45年に日本の歴史の断絶があると思っている。日本は平和国家に転換し、GHQの下に民主化を進めたために、高度成長したと考えています。しかし、そうではありません」 「40年体制は社会主義です。これは当時の世界的な潮流です。ソ連や国家社会主義のナチスドイ