公的年金制度の見直しについては、実際の給付額の水準と本来あるべき水準の間の乖離が今年度から3年間かけて是正されることとなっているが、この調整の完了後も、デフレ下を含めたマクロ経済スライドの完全実施という課題が残されている。併せて、公的年金の課税のあり方についても一定の見直しが必要になる。
安倍晋三首相(自民党総裁)は17日午後、民主党の海江田万里代表との党首討論で、物価上昇が年金受給など国民生活に及ぼす影響について「物価が上がれば物価スライドするから、年金は上がる」と述べた。そのうえで、現在の経済政策に関して「まさ
年金は“お上のお慈悲”ではない。国民が保険料を支払った結果として得る当然の権利である。国は国民からお金を借りているといっていい。 しかし、国民に返済すべき借金は踏みにじられ続けてきた。年金制度開始以来、保険料が値上げされ続ける一方、1986年改正ではサラリーマンの給付額が25%カットされた。2001年には年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられた。 その建前は高齢化、少子化、経済停滞、財政危機……。だが、それらはすべて年金改悪を正当化するための方便だ。年金官僚はまともな年金資金の運用を怠った上に、「年金財源は自分のカネ」とばかりに湯水のように流用してきた。全国に大規模リゾートを建設し、豪華官舎や専用のゴルフ練習場をつくるなど勝手放題。その総額は6兆8000億円に上る。 その結果、年金財政は破綻寸前まで追い込まれた。そこで年金官僚は必死に悪知恵を巡らせた。“どうしたら国民に知られることなく、
ニシザワ カズヒコ/1989年3月一橋大学社会学部卒業、同年年4月 三井銀行入行。2002年年3月法政大学修士(経済学)。主な著書に『税と社会保障の抜本改革』(日本経済新聞出版社、11年6月)、『年金制度は誰のものか』(日本経済新聞出版社08年4月、第51回日経・経済図書文化賞) など。 西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門 増加する社会保障費の財源確保に向けて、政府は消費税引き上げの議論を本格化させている。だが、社会保障をめぐる議論は複雑かつ専門的で、国民は改革の是非を判断できない状態に置かれている。社会保障の専門家として名高い日本総研の西沢和彦主任研究員が、年金をはじめとする社会保障制度の仕組みと問題点を、できるだけ平易に解説し、ひとりひとりがこの問題を考える材料を提供する。 バックナンバー一覧 前回、「100年安心な年金」の意味について考えた。簡単におさらいしておこう。 (1)「1
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